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求人は多いが、増えるのは非正社員ばかり。そんないびつな雇用の現場に、か…
求人は多いが、増えるのは非正社員ばかり。そんないびつな雇用の現場に、かすかだが変化の兆しが見える。
厚生労働省調査によると、全国の企業で働く正社員数が5月は前年同月より1万人増えた。正社員全体(3324万人)から見れば、微々たる水準だ。しかし、今年になって4月までは毎月、正社員数が前年比で数十万人ずつ減っていたのだから、ベクトルの変化かもしれない。実際、正社員化に取り組む企業もぽつぽつ現れ始めている。
歩調を合わせるように、5月は勤労者1人あたりの所定内給与も0・2%ながら、2年2カ月ぶりに前年を上回った。忙しさから残業代などの所定外給与が増え、企業の業績改善でボーナスなども増えていたが、所定内給与にも明るさが及んだ。
雇用の状況がよくなったと言っても、非正社員が増えるばかりでは、働く人たちが手にする総賃金はなかなか増えない。雇用の改善が正社員に広がって初めて、賃金全体を押し上げ、消費拡大が期待できる。
問題は、正社員を増やす動きが今後も続くかどうかだ。
景気が上向きの時も、賃金が安い非正社員に頼ってコストを抑えて利益を大きくし、景気が悪くなれば雇い止めにする。多くの日本企業が近年、採用してきた方策だ。
しかし日本の労働力人口は2008年以降、減少が続いている。リーマン・ショックとその後の景気低迷で目立たなかった人手不足が、このところの景気の復調で一気に顕在化した。外食産業に顕著なように、低賃金の労働力に頼った経営には限界も見えている。
この局面の変化に企業は向き合うべきだ。
正社員になれば雇用が安定するから、当人のやる気・働く意欲が上がりやすい。企業にとってもメリットはある。社員が長期間働き続けることで技術やサービスが向上し、採用や教育の費用を抑えられる。社員の生産性が高まってもうける体質に転換できれば、業績向上・賃上げの好循環も期待できる。
地域や職務を限定した正社員制度の導入も、労使できちんとルールを決めたうえでなら、選択肢の一つとなるだろう。
もっとも、賃金の増加も物価の上昇には追いついていない。実質賃金(5月)は前年同月比3・6%減で、家計の消費支出(同)も前年より8・0%減と大きく落ち込んでいる。
正社員の雇用を改善し、家計の懐を温かくする。日本経済に今、求められていることだ。
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