小林恵士
2014年7月8日13時41分
(コバケーのブラジル入門)
腹を壊して病院に行ったので、ブラジルの病院の様子をお伝えしたいと思います。比較的裕福な方が行く私立病院のようなので、一般化はできませんが。
腹が痛み始めたのは、ブラジル―コロンビア戦があった4日の朝。典型的な食あたりだと思います。もしかしたらバスターミナルで深夜に食べたハンバーガーセット? 朝日新聞サンパウロ支局の現地スタッフ・平島セザルさん(37)にどこの病院がいいか尋ねると、「日本語が通じる病院があるので連れて行きます」とのこと。助かります。
■ブラジルの試合があるので……
午後3時半ごろに病院に着くと、入り口に張り紙が。確かに、日本語です。
「ブラジルの試合があるので、本日の業務は午後3時で終了です」
というような内容だったはず。ふらふらだったのと、軽い衝撃で写真を撮り忘れてしまいました。門番の人、青白い顔の僕を見て首を振っています。同情するなら入れてくれ。あ、たぶんこれ同情じゃないな……。
今回のW杯で、ブラジル代表の試合がある日は学校や会社、商店などが軒並み休みになっているのは知っていたのですが、病院もなんすね。「ブラジルのこういうところ、好きじゃないです」とセザルさん。そう思う人もいると思うと、ちょっと安心です。別の病院に連れていってくれました。
■やっぱりサッカー、みたいんですね
今度は開いてました。最初に受付で、診察料250レアル(約1万1500円)を払います。無保険なので高いです。128番と書かれた紙をもらい、待ちます。順番が来ると、モニターに自分の番号が表示され、指示された番号の部屋に行くシステムのようです。
院内は、日本の病院の雰囲気と似ています。白衣ではなく、黒っぽい上着を着ているスタッフさんが多いです。1時間ほどたち、順番が来ました。「今日はW杯だからすいてます。いつもだったら倍以上は待ちますよ」とセザルさん。
若い女性医師の方が診察してくれました。聴診器をあて、おなかを押さえて舌を見る。当たり前ですが、日本と一緒です。「食あたりです。便に血が混じってなきゃ大丈夫。点滴打ちましょう」とのこと。
点滴とほぼ同時に、17時からのブラジル―コロンビア戦がスタート。部屋に置かれたテレビの前に、どんどんスタッフさんや看護師さんが集まってきます。点滴の患者さんは3人。スタッフさん、倍以上います。
僕に点滴の針を刺してくれたおじさんは、患者さんが座って点滴するんであろう椅子に座り、僕の点滴とともに試合の前半が終わるまで、ずっと試合をみてました(笑い)。
■総額約3万6千円
病院到着から計2時間半ほどで終了。点滴代は別なので、追加で425レアル(約2万円)払いました。処方箋(せん)をもらい、病院とは別にある薬局で薬をもらうスタイルです。
薬局に向かう途中、セザルさんに「けっこう高いですね。これだと病院に行けない人も多いんじゃないですか」と聞くと、「無保険の人も多くて、そういう人は公立病院に行きます」とのこと。
セザルさんによると、ブラジルの公立病院では、診察は無料だけど、医師の数が少なくて、待ち時間がものすごく長いんだそうです。僕がかかった病院は私立病院ですが、ふだんは半日かかることも多いとか。今回、W杯を機に起きたデモでも「医師の数を増やせ」「病院の待ち時間が長い」という主張がありました。
加入している保険の保険料に応じて、私立病院も無料になったり、ある程度安く診察が受けられたりするそうです。
薬局に着き、薬を購入。日本のように「○日分」とかではなく、箱買いです。確実に余ります。3種類で90レアル(約4200円)。総額は約3万6千円。点滴と薬のおかげか、1日で回復しました。
しかし、1人で病院に来ていたら、「おうと」や「下痢」をすべてジェスチャーや「便がlike water」とかで伝えないといけなかったのかと思うと、ぞっとしました。(小林恵士)
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