集団的自衛権:官房長官、関連法案「議論1年かけ」

毎日新聞 2014年07月08日 07時30分(最終更新 07月08日 08時34分)

 菅義偉官房長官は7日の記者会見で、集団的自衛権の行使容認など安全保障関連法案の提出を来年の通常国会に先送りしたことについて「向こう約1年かけて国民の前で議論したい」と述べた。報道各社の世論調査では、1日の閣議決定後に内閣支持率が低下している。先送りには「強引」との印象を避け、改めて「経済重視」をアピールする狙いもありそうだ。

 「閣議決定ですぐ行使できると思っている人がいるが、法改正しなければ何一つできない。国会で議論する段階で理解を深めてもらえる」。菅氏はこう語り、集団的自衛権を巡る法改正で十分に議論する姿勢を強調した。

 共同通信社の1〜2日の世論調査では、内閣支持率は47.8%で前回6月から4.3ポイント下落。閣議決定直前の毎日新聞の世論調査(6月27〜28日)では行使容認反対が58%を占めており、閣議決定が支持率を押し下げた可能性が高い。

 昨年12月に特定秘密保護法を成立させた際も、「知る権利」制約の懸念から内閣支持率が一時急落した。今回も同じパターンをたどったことで、政府関係者は「ごり押しの印象が続けば支持率低下が長期化しかねない」と懸念する。

 首相は年末までに消費税率の10%への引き上げを判断する意向だ。米軍普天間飛行場の移設の是非が争点となる沖縄県知事選も11月に予定される。内閣としては9月にも内閣改造を行った上で臨時国会で経済対策を打ち出し、難局を乗り切りたい考えだ。政権幹部は「臨時国会の課題は成長戦略と地方活性化だ」と語る。

 政府は日本人拉致問題の再調査で、北朝鮮に「1年以内」(菅氏)の結論を迫っている。安保法制の見直しが順調に進めば、首相がこだわる安保と拉致の両面で成果をアピールすることが可能だ。来年秋には自民党総裁選が予定されており、与党内には「首相は通常国会後の衆院解散を探るのではないか」との見方も出始めている。【木下訓明】

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