韓国:「反日協調」悔やむ 中国と集団的自衛権憂慮表明で

毎日新聞 2014年07月08日 21時14分(最終更新 07月08日 21時45分)

記者会見する韓国の朴槿恵大統領(右)と中国の習近平国家主席=ソウルで2014年7月3日、AP
記者会見する韓国の朴槿恵大統領(右)と中国の習近平国家主席=ソウルで2014年7月3日、AP

 【ソウル大貫智子】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と、訪韓した中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が日本の集団的自衛権行使容認問題に関し、「一致して憂慮を表明した」と韓国青瓦台(大統領府)が発表したことなどについて、韓国で厳しい評価が出ている。米韓同盟を揺るがしかねないとの懸念や、公表が不適切だったとの指摘だ。外交への高い評価が支持率を押し上げてきた朴政権は難しい対応を迫られている。

 両首脳は3日に会談し、共同声明を採択、続いて共同記者会見を行った。韓国内では北朝鮮や日本への言及が注目されたが、両首脳は日本について触れず、会談での日本に関する発言についても韓国政府は公表を避けた。

 4日付の韓国メディアは日本問題が議論されなかったと大きく報道。4日に習主席がソウルでの講演で日本の歴史問題について批判したこともあり、青瓦台の朱鉄基(チュ・チョルギ)外交安保首席秘書官は4日夕、同日の昼食会で集団的自衛権問題や河野談話の作成過程検証の報告書公表などについて中韓両首脳の認識が一致したと急きょ発表した。集団的自衛権問題について、韓国は従来、同盟国の米国が日本の行使を支持していることから、明確な日本批判を避けていた。

 これに対し、5日付の中央日報は社説で「米国は韓国が中国側に急速に傾いているのではないかと疑う可能性がある」と指摘。尹徳敏(ユン・ドクミン)国立外交院長は7日付の同紙で、「韓中が手を握って騒いだところで日本の反発が大きくなるだけだ」と批判した。

 韓国外務省報道官は8日の定例会見で、集団的自衛権問題に関する韓国政府の立場の変化について問われ「政府の公式の立場と青瓦台の発表が大きく食い違っているとは思わない」と釈明した。

 世論調査機関リアルメーターの7日の調査では、政権への支持は45.4%と不支持の47.4%を下回り、今回の中韓首脳会談は支持率回復には結びつかなかったようだ。

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