集団的自衛権:政府、「日米協力新法」を検討
毎日新聞 2014年07月08日 06時45分
政府は7日、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の見直しについて、関連法案を一括して来年の通常国会に提出する方針を固めた。年末までの見直しで合意している日米防衛協力の指針(ガイドライン)の再改定に向けた協議も進め、法案策定作業に反映させる。日米協議の進展を見ながら現行の周辺事態法を廃止し、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処も含めた包括的な「日米協力新法」(仮称)を制定する案も浮上している。
菅義偉官房長官は7日の記者会見で「グレーゾーンから集団的自衛権まで幅広い法整備を一括して行っていく」と述べ、来年の通常国会後半までに法案の成立を目指す考えを示した。
ガイドラインに関する日米協議では、朝鮮半島有事や沖縄県・尖閣諸島周辺で中国軍と衝突が生じた場合などの日米協力のあり方が主要議題になる。国内安保法制の見直しと同様「隙間(すきま)のない日米協力を目指す」(防衛省幹部)こととなる。
1997年に改定された現在のガイドラインは(1)平時(2)周辺事態(3)日本有事−−の三つの場合における日米の協力の基本方針を示した。しかし、実際には平時から、周辺事態や日本有事に発展するまでの間に、さまざまなシナリオがありえる。だが、現行の法体系では、平時協力を除いては、朝鮮半島有事のような周辺事態の認定がされるまでの間の日米協力については明白な指針が存在しない。
政府はガイドライン協議を進めながら、同時並行で対米協力のあり方を整理する考えで、包括的な日米協力新法の必要性についても検討する。
周辺事態法は「非戦闘地域」に該当する「後方地域」で自衛隊が米軍の支援活動を行うと規定。しかし、1日の閣議決定では、こうした地域的な制約を廃止し「現に戦闘行為を行っている現場」では、支援活動を行わないとの新たな政府見解が示された。こうした新政府見解も反映させる必要があるため、周辺事態法の抜本的な見直しが必要になるとの意見もある。【飼手勇介】