ありもしない効能を謳って、1兆2000億円も売り上げた「ニセ薬」事件。その穴埋めに使われたのは、われわれの血税だ。捜査当局が事件のキーマンとしてマークする「有名教授」が口を開いた。
「もう疲れた」
疑惑の医師は奄美大島にいた。
「どうして僕がここにいるってわかったん?……堪忍して。ほんとに疲れているんです。(知り合いが)捕まったってことだけでも、疲れているんだから」
梅雨の湿気を含む重たい南国の空気のなか、彼は本誌にそう答えた。
口調は平静を装いながらも、その仕草は、少しずつ自分に近づいてくる捜査の手に内心怯えているようにも見えた—。
製薬会社、ノバルティスファーマ(以下、ノバ社)は血圧を下げる薬「バルサルタン」(商品名・ディオバン)に脳卒中や狭心症などのリスクを下げる効果があるとして、'00年から大々的に販売してきた。ところが、そんな効能は医学的には存在せず、実験データに不正があったことが昨年、判明。厚労省が調査を続けてきたが、ついに6月11日、データ改竄の「実行犯」として、同社元社員の白橋伸雄容疑者(63歳)が逮捕された。
実際にはない薬の効能をあるように見せかけた、薬事法違反の罪で、わかりやすく言えば、「薬の誇大広告」である。
「白橋容疑者は現場の下っ端に過ぎません。病院にも、ノバ社にも、もっと深くこの事件に関わった人物がいる。彼らにも今後、捜査が及んでいくことになります」(全国紙社会部記者)
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