いたくないはなし 「あっ、チン負けしたい」 「チン負け?」 「絶対にチンポなんかに……」 「負けたりしないっ」 「そうそう、それ」 「どっちかって言うと違って欲しかったわ」 「つって、男のあんたが言うのが正解だと思う?」 「男女いい出すなら俺に対して言う時点でおかしいよね?」 「じゃあ何さ、どこまで遡ればイイわけ?」 「どこって……まず、したいしたくないの話じゃないだろ」 「和姦のか?」 「かなり和姦に近いものになるとは思う」 「……で、さっきから何やってんの」 「何って……お前の乳首を探り当ててブラ越しに?」 「あー……って何しよん」 「脇腹つっついてた段階で突き飛ばされるかと思って」 「そこまでは知ってた。そのままテッペン目指すとは思わなかったけど」 「思わなかったらわからない訳か。はぁはぁ……まるで納得できないね」 「無痛症だからねぇ」 「そんな「トシだからねぇ」みたいに言われても」 「皮膚とか肉の感覚が無い系?」 「系統で分けられたとしてもその系統の認知度が低い所為でよくわからない」 「骨のあたりで圧力的なものをかろうじて感じてるっぽい?」 「脇腹……あーこのザマじゃねぇ」 「ゴリゴリすんなお前に使わせる洗濯板はねぇ」 「どうりでお札数えんの苦手な訳だ」 「だね。紙と紙の段差とかマジ死ね」 「殺すなよ。十五回くらい折ったら富士山とか余裕で超えるんだぞ」 「らしいね。月なら何回で届くかな」 「ハンデに始点エベレストとか必要かな」 「富士山から二回折るだけでエベレストくらい余裕だし」 「富士山折るっていう字面から漂う無理感すごい」 「折るっていう発想から離れよう。切って、載せる」 「富士山を切る?」 「切るね。すごい切る」 「その頃には一枚がみじんこになってるだろうがな」 「だからさぁ、こう、大きい紙を使って……針で固定して」 「針? こういう針?」 「そうそう、そういう……待った、なんで刺すの」 「ほんとに痛くないのかなって」 「あんんたねぇ、注射針で富士山ささえられると思う?」 「大丈夫、大丈夫。中身かるい筋弛緩剤だから」 「それ富士山と関係ある?」 「意外と……」 「無いよ。私の筋肉には関係あっても富士山には効かない」 「A3用紙くらいの大きさで収まれば針とかいらないかも」 「エベレストにつく頃にはA5ですか」 「切る方も問題だよね」 「間違ってもその包丁では無理だろうね」 「まあ君の脚くらいだったら問題は……はい、一本」 「なんで切ったし」 「筋弛緩剤抜けたら逃げるでしょ?」 「えっ……富士山は?」 「何が悲しくて登山に注射針もっていく訳」 「注意一生、怪我一秒」 「早い! 治り早い!」 「それで、私の脚はくっつくかなぁ」 「無理じゃないかなぁ」 「あんたやっといて無責任な。骨んとことか流石にびりっと来たんですけど」 「でも綺麗……綺麗だからもう一本もいっとこう」 「あはは。撫でられながら言うと悪い気はしないわ」 「……今までさ、ここまでしても笑ってくれる友達っていなかったんだよね」 「胸さわってた時はコイツどうしようとは思ったけどね」 「こうも綺麗だとまた似たような事したくなってきたけどね」 「されてもツッコめないじゃん。腕も上がらなくなってきたし……冷房入れてたっけ?」 「……だよね。止血らしい止血もしてないし……でも綺麗だから興奮してきて……あっ」 「チンポには、勝てなかったよ」 「あんたが負けるんかい」