「自慢じゃないけど」とは「今から誇るけど、悪く思わないでね」という意味の言葉だ。
どういう脈絡でそういう話になったのかは覚えていないが、ある時友人が会話の中でこんな言葉を口にした。
私はこの言葉を聞いて思った。
「いじめの当事者になった事がない人にとって、いじめの被害に遭う事はやはり恥ずべきことなのだ。いじめに遭わない事が誇ることならば、いじめに遭っていた事は恥ずかしい事なのだ。」
かつて公共広告機構のテレビCMで「いじめ、かっこわるい」というフレーズがあった。
毎日のいじめが原因で自尊心を傷つけられ惨めな気持ちで過ごしていた私は、そのフレーズのおかげで自尊心を失いきらずに済んだ。
「ああ、私はいじめられ連中の笑いものになっているけど、格好悪いのは私じゃないんだ」と思えた。
しかし。
この言葉を友人があまりに気負わずさらりと口にしたときから、気にするのをやめた筈の古傷が疼く。忘れたはずの連中の名前を一人ひとり思い出す。憎しみがじりじりとせりあがってくる。あの時のストレスがフラッシュバックする。