.先日更新した記事内容が、ブロゴスでちょっとした議論になっていた。批判あり賛同ありの様子で多くの方が気になるテーマであった事は間違いないだろう。
ちなみに、当件とちょっと関係ないが(批判絡みで)、先日の「W杯サッカー日本代表に対する批判を止めろ」、といった声が著名人なんかからチラホラ聞こえていた。どうやら、「叩き」と「批判」が同義語で使われていたようで、これに関してはずっとおかしいと思っていた。
受け入れ可能な批判もあれば、受け入れられない批判もある。どういう風に言っているのか、ではなく、何を言っているのかが問題だ。言い方は関係ない。選手本人が「すべての批判を受け入れる」といっているにも関わらず、「批判するな」というのはおかしい、という話。(これに関してはどうしても言っておきたかった、健全な批判はどんどんされるべき)
で、以下本題。 冒頭リンク記事に対する記事がブロゴスで目に付いたので、今回はそれについてのエントリー。
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医者に向けられたものなので、医者がカチンとくるのは当然の帰結。ただ、自分のような医療関係者でない者の意見が、このような形で世間に対してアピール・議論になる事は大変良い事だと感じる。日本では、皆がどこかでおかしいと感じている事について公に議論されず、避けて通る傾向にあるからだ。
TVメディア等ではこのような議論がされることはほとんど無い。その上で、危機管理血液内科医だという中村ゆきつぐ氏の自分に対する意見 について、率直な感想をササっと述べておこう。以下は彼(中村氏)の記事内容。(ブロゴスから要所転載)
>相変らず予約時間に対する患者さんの不満が出ています。詳しい内容は今ひとつ情報が不明確ですが、医師側から言い訳をします。
まずこの方が怒っているCT等の検査をする際をお金等の説明を医師におこなって欲しいとのことですが、基本医師は検査等の値段を知りません。これは特に真面目に患者さんだけを一生懸命診ている医師に共通のことで、総合病院に多いです。
もしどうしても知りたいのであれば、今後事務に聞かれるといいと思います。少なくとも患者さんがいっぱい待って予約が遅れている医師に聞くのは他の患者さんへの迷惑を含め効率が良くないでしょう。(記事)
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彼自身(中村氏)が言っているように、これは医師側からの言い訳というか事情、という事になるのだろう。
「医師は基本的に値段を知らない。さらには、効率面も含めれば事務に訊いた方がいい」という事らしいが、裁量を委ねられている当人(医師)が金銭面を知らないのはおかしい。というか、せめて手元に金額が分かるデータを保有しておかなくてはならないように感じる(前回からメニュー表、といっている)。 患者からすれば、病と同時に支払う金銭は受診の前提のものであり、当然ながら、重要事項になるからだ。「真面目で一生懸命患者を診ている医者は、値段を知らない」とのニュアンスだが、真面目さや一生懸命さと、値段が知らない事を結び付けているようなニュアンスはおかしい。誰であれ仕事には真剣さが求められるし、それは当然の事。一生懸命なので値段が知らない(といったニュアンス)、と言われてもね。
仮にそれ(医師が値段を知らない事)が医療業界の常識というのであれば、それは常識として維持すべきものではなく、改善されるべき悪習だと見るべき。「こういう世界はこういうもの」で終わらせてしまうと、どのような世界でも進歩は無い。医療に限った話でなく、日本全てにおいて、このような感覚で麻痺してしまい、閉鎖的な責任転嫁の社会が一部形成されているように思える。(海外医療はどういう事情ののかは分からないし、それに追従する必要もない)
「事務に聞いた方がいい」とはいうものの、(患者からすれば)受診の場で精密検査などを即決されても、支払う金額など即座に分かるはずもない。少なくとも自分はそうだ。効率の話を(中村氏は)しているが、時間を割いても値段の話はしなくてはいけないし、それを含めて時間調整すべき、という事。 (医師が)値段を分からないのが普通、というのであれば、尚更メニュー表のようなものは診察室に必要だろう。中村氏自身も「メニュー表はいいアイデア、自分も一部作っている」と最後のくだりで言っているではないか。
支払う側が値段を認識していない状態で検査を受けるのはいかがなものだろうか?繰り返しになるが、その場で(検査など)即決されるとなれば、事務に聞くという話自体が難しくなる。仮に「事前に暗記してくべき」という意見があるのであれば、それもどうかと感じる。医師が分からないのに患者が事前に記憶しておくべき類のものなのだろうか?少なくとも、金銭を受け取る側(ここでは医師・病院)が何らかの形で認識、(即座に)告知すべきものだろう。患者側からも「値段はいくらになるのか?」といった質問は必要だろう。(少なくとも、自分は訊く)
>写真のコピーをもらいたいが翌週でないと無理もよくわかりませんが、どこかに紹介するためだったのでしょうか。紹介状を作成するのならその場ですぐにはできませんので、次回にと言ったのではないでしょうか。そうなると再診料もある意味仕方がないのですが。
またこのコピーの要求も医師にする必要はありません。事務にしていただければスムーズに動いたと思われます。また病院に来て診察を受けるという事は医師に病気への対処策をコンサルトする事で、その方法について素人に対しいちいち説明していたのでは時間が足りません。 (記事)
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総合受付、事務に何度も言い、事務と耳鼻科でも混乱が起きていた。事務と耳鼻科医でどういうやり取りがあったのかは具体的には分からないが、事務も耳鼻科医に対し、大変困惑していた。院内でもスムーズに動かなかった、という事。前回記事を見てもらうと分かると思うが、「あったこと1つ1つを話す事はないが、もう無茶苦茶。」と自分は言っている。当然彼の知らない事だし、自分に書く義務があったような内容であるとも思わない。仮に「そこまで言うなら細かく書くべきだ」というのであれば、そは閲覧側の独善的な見方だろう。彼(中村氏)が思っている以上に杜撰な医師がいる、という事に尽きると思う。
>まあ、医師が今ひとつ傲慢で世間知らずで態度悪いのは一部本当ですが、この文章読む限りでは表面上の事しか分からず、自分の領域の教科書的な話で終わらす金融専門家も今ひとつと言われますよ。(記事)
傲慢で世間知らずで態度悪いというのは一部本当(中村氏)、という事らしい。ご本人も認めているようだ。
ちなみに、ここはまぁどうでもいいと言えば、どうでもいい箇所だったのだが、自分個人に対する金融知識の水準の話なのか、世間一般的な金融専門家に対するものなのか、おそらくはその両方だろうか。皮肉を一発を入れたつもりなのかも知れないが、言いたいのは患者(ここでは自分の事)は中村氏自身が言っているように「素人」。素人は表面上の事しか分からない。それはあたりまえの事。「素人(お客さん、ここでは患者)の見解」が産業を発展させるキッカケになる。自分の専門分野(金融)の話とこの件を結び付けるのはこじ付け染みている。 (というか、仮に今ひとつ、と言われても構わない。「顧客の方」からの批判は健全なものとして受け止める。自分はごう慢な医者ではない。)
>杜撰な病院に言いたい事は、予約時間を順守するよう努める事、(診療検査代)を事前説明しないのであれば、せめて診察室にメニュー表を貼っておけ、という事。
それを期待するのであれば、人件費のために医療費をもっと上げて、コンシェルジュを各病院に作り、絶対予約を守るための特別枠を作るなどの方法が必要でしょうね。もちろんそこに特別料金は必要でしょうが。
しかし今の日本の医療システムは万人が平等に均一な医療を受けるという保険診療なので、少ない数の医師に個別対応をする程の余力はありませんし、そのサービスをしようにも別料金はとれません。(つまりこの点が改正されそうな混合診療領域にかかってきます)
つまり今はまだビジネスの常識が通用しない領域なのに医師に文句を言ってもなのです。でもメニュー表のアイデアはいいですね。(一部私は作っていますが)
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正直、こういう改革の具体的な話はよく分からないが、現場の中村氏のような人に(改革など)委ねるしかない。発信力がある人なんだろうから、改善には当然期待したい。結局のところ「メニュー表」のアイデアのところでは共感を得ているようなので、せめてその導入に向けて、自分のような「素人」ではなく「同業者」に向けて発信して欲しいところだ。
>ホリエモンさんはちゃんとビジネスモデルにしようとしていましたが、本当にみんなの不満は儲けにつながるのかもしれません。特にお金持ちへのサービスにおいて。(そんな金儲けは医師個人として興味はありませんが)
最後のくだりは本人の雑感のようだ。不満とビジネスの話のようだが、興味はないらしい。
という事で、こちらも雑感。昨日から寝ていない。午前中に帰ってきた。今日はたくさん寝る事にする。
そういえば、ブロゴスの記事タイトルが、場所によっては「予約時間を順守しない杜撰な病院に言いたい 」という、なかなか挑戦的なタイトルになっていた。なるほど、それで当事態を納得。まぁ記事中にある文言なので、まんまといえばそうなのだが、 、掲載されているだけでも感謝しないと。
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