コンビニ:「飽和」指摘も5万店 年間売上高10兆円目前
毎日新聞 2014年07月07日 09時52分(最終更新 07月07日 10時51分)
大手コンビニエンスストア10社の店舗数は5月末現在、5万480店。前年同月に比べ5.3%増えた。年間売上高は約9兆4000億円に上り、百貨店を約3兆円上回る。国内5万店は「飽和水準」ともいわれるが、セブン−イレブンやファミリーマートの今年度の出店計画は、いずれも過去最高の1600店。高齢化に対応した宅配サービスなど時代のニーズを取り込みながら、新たな出店余地を開拓し続けている。
米国生まれのコンビニだが、米国内では伝統的にガソリンスタンド内の小型店舗が強く、日本型コンビニは少数派。市街地に複数店舗が密集するようなケースは海外ではほとんど見られず、日本は世界に例のないコンビニ大国となった。
都道府県別でみると、店舗が最も多いのは東京都。大手5社で6519店が出店。人口10万人あたりに49店がある計算で、コンビニの密集度合いでも日本一だ。密集度の2番手は宮城県で、10万人あたりに45店。次いで愛知県の44店と続く。逆に最も店舗が少ないのは高知県の172店。10万人あたりに22店で、密集度は東京都の半分以下だ。
国内でコンビニの本格展開が始まったのは40年前。大手スーパーのイトーヨーカ堂が米国のセブンの運営会社とライセンス契約を結び、1974年5月、東京都江東区豊洲にセブン1号店を出店した。翌年にはダイエーがローソンを設立し、81年には西友ストアー(現西友)のコンビニ事業を引き継いでファミマが発足。大競争時代が始まった。
飛躍のきっかけになったのが、おにぎりの商品開発だ。家で作るのが一般的だった時代、セブンは原材料やごはんの炊き方を研究。パリッとしたのりの食感を楽しめる包装フィルムを開発し、78年に発売して大ヒット。他社も追随し、コンビニの主力商品となった。
80年代以降、個々の商品がいつ、どの程度売れたのかを瞬時に把握するPOS(販売時点情報管理)システムの導入が進んだ。売れ筋商品の仕入れを増やし、売れない商品を売り場から外すなど、頻繁に商品を入れ替え、コンビニは収益力を高めていった。