中村真理、日高奈緒
2014年7月6日16時34分
名古屋市営バスの運行ミスが減らない。市交通局は現場に危機感がないと悩み、運転士からは現場の声が届かないと不満が漏れる。2011年の事故隠し発覚を機にミスの報告は上がるようになったが、対策は後手に回り続けている。
「行き先、(出)発時刻を再確認して、間違えないようお願いしますね」
6月下旬の午後、名古屋駅前のバス停。市交通局職員が車内の運転士に声をかけた。赤字で「経由確認」などと書かれた看板を手に、数分おきにバスが着く度に走り寄る。
運行ミス防止強化月間を掲げ、6月に始めた対策の一つだ。路線間違いが起きやすい50カ所超で、全11営業所と市交通局で実施。同局からは経理などバス事業以外の職員も含め、のべ300人超が出た。無線で全車両に注意喚起し、出発前の運転士の点呼に同局幹部が立ち会う試みもした。
それでも6月のミスは67件にのぼり、5月までの月平均57件を上回った。国土交通省中部運輸局は「利用者に影響する重大な問題なのに、組織内で危機感が共有できていない」と指摘。7~8月に、バス事業者に対して初めてとなる立ち入り調査をする。
なぜミスが減らないのか。市交通局の宗田和彦・自動車運転課長は「運転士は車庫を出ればずっと1人。緊張感が切れないようプレッシャーを与え続けるのは難しい」と話す。だが、それだけではない。そもそもミスの原因分析がほぼ手つかずになっている。
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朝日新聞社会部
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