号泣県議:異例の勧告、追い込まれ 「迷惑かけた」辞職へ

毎日新聞 2014年07月07日 13時57分(最終更新 07月07日 15時43分)

野々村竜太郎・兵庫県議への対応を話し合う県議会の会派代表者会議=同県議会で2010年7月7日午前11時5分、神足俊輔撮影
野々村竜太郎・兵庫県議への対応を話し合う県議会の会派代表者会議=同県議会で2010年7月7日午前11時5分、神足俊輔撮影

 「大変な迷惑をかけた。議員の辞職を念頭に置いている」。野々村竜太郎・兵庫県議の政務活動費を巡り、7日に開かれた県議会の各会派代表者会議。最後に呼ばれて出席した野々村県議は、梶谷忠修(ただお)議長に発言の許しを得た上で、こう述べたという。

 各会派代表者会議では「議員辞職させるべきだ」「議会として徹底して調査すべきだ」との意見が出た後、「議長私案」として出された▽県民が納得できるよう説明責任を果たす▽説明できないものは返還する▽果たせない場合は速やかに議員辞職する−−ことの3点を求める勧告文を全会一致で決めた。こうした勧告は本来、議会本会議で採決するものだが、「その暇がない」として、代表者会議での異例の勧告に踏み切った。

 出席者によると、勧告決定後、近くで待機していた野々村県議を室内に呼び、梶谷議長が勧告文を直接手渡した。スーツ姿の野々村県議は落ち着いた様子で「真摯(しんし)に受け止める」と述べて受け取った後、出席者に頭を下げて謝罪。「(政活費の)再調査に応じる。説明できないものは全て返還する」と話した後、議員辞職を示唆したという。1日の記者会見で号泣したことには触れなかったという。

 この日登庁していた丸尾牧県議(無所属)は「辞職で済む話ではない。言い分もあるだろうが、実態がどうだったのか全て明らかにしてもらう必要がある。議会の制度改善にもつなげていかなければならない」と話した。

 一方、野々村県議の選挙区、西宮市に住む主婦(61)は「政務活動費は税金なので辞職するのが当然。会見の場で肝心なことは答えておらず、元々議員の資質があったか疑問に思う」と話した。

 一方、野々村県議が出張したとする城崎温泉(兵庫県豊岡市)で、旅館を経営する男性(52)は「日帰りというから、本当に来訪したのか確認できない。もっと、いい話題で多くの方々に訪れてほしい」と複雑な心境を語った。

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