福岡県小中学校:教員の定員割れ常態化 今年度19人欠員
毎日新聞 2014年07月06日 11時00分
福岡県教委が採用し配置する小中学校の教員数で、年度初めの定数割れが常態化し、今年度は基準日の5月1日現在で、19人の欠員が生じていたことが分かった。6月中旬までに講師を補充し欠員は解消したが、少人数指導をやめたり、20人程度の2学級を40人弱の1学級にしたりするなどの影響が出ている。文部科学省財務課定数企画係は「欠員は違法ではないが、好ましくない」とし、福岡県教委は「今後は欠員の出ないよう採用を増やす」としている。
教員定数は「義務標準法」に基づき学級数に応じ配分される教員と、少人数授業などきめ細かい指導のため配置される教員の合計。欠員となった福岡県東部の小学校では、これまで約20人の2学級としてきたが、担任が足りず40人弱の1学級となった。地元の教育関係者は「担任1人が対応する児童数が増え、子どもにしわ寄せが及んだ」としている。
別の小学校では学級数に見合う数の教員が配置されず、校務の管理を主に担う主幹教諭を暫定的に担任に充てた。欠員は5月に埋まったが、児童が混乱するため担任を続けている。県南部の小学校でも予定していた少人数授業ができず、教頭が代理で授業に入った。
福岡県教委は、政令指定都市の福岡・北九州両市を除く県内の小中学校の教員採用と配置を担当。転校などで各校の児童数が固まる5月1日現在を基準日として、教員定数の充足状況を把握しており、2010年に6人▽11年に12人▽12年に8人▽13年には6人の欠員が生じていた。
欠員が出た原因は、事前に予想の難しい早期退職者が11年度189人、12年度273人、13年度249人と増えたため。大量退職を見越して12年度から新規採用をかつての2倍以上の450人超としたが「講師が正規教員に転じて講師のなり手も減少した」と県教委は説明している。
欠員の解消に当たって県教委は、他県在住の講師を雇うなどして対応した。こうした補充策について、天笠茂・千葉大教授(学校経営学)は「全国的に教職希望者が減り教員不足が深刻化している。講師の確保でも各県が連携し、教職志望者の量と質を向上させる対策が必要だ」と指摘している。【山本紀子】
【ことば】講師