沢村「長かった」復活1勝!271日ぶり1軍登板で150キロ台連発!8回1失点

2014年7月7日6時0分  スポーツ報知

 ◆巨人3―1中日(6日・東京ドーム)

 巨人・沢村が帰ってきた。右肩の違和感から復帰し、今季初登板で初勝利をつかんだ。初回から150キロ台を連発し8回1失点。8奪三振、1四球と安定した投球を披露した。打線は4回、井端の移籍1号ソロで先制。同点の8回に代打・高橋由の中前2点打で勝ち越した。中日に3タテを食らわせ、貯金は今季最多の15。2位・広島とのゲーム差は4に広がった。

 大歓声に身震いした。プレーボール前、沢村の名前がコールされると、東京Dは万雷の拍手に包まれた。271日ぶりの1軍登板。「もう(歓声を)聞けないんじゃないかというところから始まっていますから。こんなにも力をくれる、奮い立たせてくれるんだと改めて気づかされました」。アドレナリン全開でマウンドに上がった。

 先頭の大島に3ボールとなるも、粘って三振を奪った。序盤から、今季最速の152キロなど150キロ台を連発した。「久しぶりで初回は緊張しましたが、途中から緊張も取れてきました」。140キロ台のフォークなど変化球のキレもよく、4回先頭のルナから4者連続空振り三振。7回に投手の浜田に同点打を許したが、気持ちを立て直し、8回を1失点に抑えた。

 球数は121球。打順が回らなければ9回も続投だった。8回2死満塁から代打・高橋由が決勝打。小さい頃から憧れだった背番号24の一振りに、喜びを爆発させた。12年10月6日のDeNA戦以来、638日ぶりの東京Dでの先発勝利だ。「野手の皆さんのおかげ。もう7月ですか。長かったなと思います」。お立ち台で感慨に浸った。

 右肩の違和感のため春季宮崎キャンプ3日目に2軍落ちした。「ボールを持っているだけで怖かった。投げたくないなって思っている時点でピッチャーじゃないんです」。2軍では誰よりも遅くまで球場に残って練習し、早寝を心がけた。「部屋に戻るとイライラするので。寝てるときは肩のことは考えない(で済む)じゃないですか」。精神面のコントロールは容易ではなかった。

 G球場の2軍生活でハッとした。「高木(康成)さんと野間口さんが準備をすることにものすごく真摯(しんし)でした。朝7時には絶対にいる。プロである以上、自分の仕事に一生懸命でなきゃいけないと、すごく勉強になりました」。高木康は肩、野間口は肘。ともに手術を受け、育成選手として再起を目指す先輩が、朝一番乗りで汗を流す。6月上旬に左肩痛で降格した内海も同じだった。

 「野村克也さんの言葉に『ベテランの選手が若手以上に自分の可能性を探り、日々取り組む姿は生きる教科書』という言葉がありますが、1軍で投げていた人やエースと呼ばれる人が、そうやって取り組んでいるのだから、自分は何で2軍にいるのか自覚しなくちゃいけないなと。けがをしたからじゃないと(自分に)言い聞かせた。自分は下手で、技術がないから2軍にいるんだと。だから誰よりも練習して、はい上がらなくちゃいけない。もう、一日一日やるしかなかったです」

 決意を胸に、地道なリハビリを続けた。肩に負担のかからない投球フォームも模索した。

 5月。実戦復帰の直前、一人で栃木県内にある父方の祖父の墓参りに行った。両親の結婚前に他界し、会ったことはない。「野球をやる以前に、人として先祖を大事にするということです。今、自分がいるのは両親のおかげであり祖父母のおかげ。これから実戦に復帰するよ、と(墓前で)手を合わせて。会ってみたいですね」。感謝の思いを白球に込めた。

 沢村が1軍合流した4日、原監督はブルペンでの投球練習を見守った。「自分の目で見させてくれと。そこで(正式に登板を)決めると。よく映った。会話は『がんばろう。スタートしよう』くらいかな。ちょっと時間はかかったが、いい時間を使ったと見えた。この次もあるが、遅ればせながら、いいスタートを切ってくれた」と喜んだ。

 「この1勝は、2軍で支えてくれた方のおかげです。また次も勝てるように頑張ります」。力強い沢村が帰ってきた。(片岡 優帆)

 ◆沢村の1軍復帰まで

 ▼14年2月3日 キャンプ3日目の練習前、右肩の不安定さを訴えて2軍降格。「自分は人より関節が緩い。ここで無理してもチームに迷惑」

 ▼2月21日 離脱後、初めてブルペン入り。すべて直球で21球。「スッキリした」

 ▼4月21日 原監督が奮起促す。「あとは沢村。戦力になってもらわないと困る」

 ▼5月7日 G球場室内練習場で今年初めてフリー打撃登板。井野、奥村相手に37球で安打性2本。「楽しかったです」

 ▼5月22日 イースタン・日本ハム戦(鎌ケ谷)の6回から2番手で登板。200日ぶりの実戦で最速151キロをマーク。1イニングを3者凡退に抑えた。「一日でも早く戻りたいという気持ちが心底あります」

 ▼7月4日 イースタンでは5試合登板で2勝0敗、防御率3.13。東京Dの1軍練習に合流。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
ニュース 順位表スコア速報