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第1回 目指せ! トップアーキテクト

非公表のクラウド内部仕様、経験基に推定し可用性を確保

2014/07/07
島津 忠承、中山 秀夫=日経SYSTEMS (筆者執筆記事一覧
出典:日経SYSTEMS 2013年12月号  pp.30-32
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 正直、できるかどうかは分からない。でも必ず実現してみせる―。

 NTTデータでエグゼクティブITアーキテクトという肩書きを持つ田中秀彦氏(基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット 第一技術統括部 第一技術担当 部長)は、2012年に担当したあるプロジェクトで、そんな思いに駆られたと振り返る。

田中 秀彦 氏
NTTデータ 基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット 第一技術統括部 第一技術担当 部長 エグゼクティブITアーキテクト。NTTデータに入社後、ソフト開発方法論を担当。その後、Javaの登場間もない時期に社内で初めてその技術を評価し、全社展開した経歴を持つ

 田中氏が担当したプロジェクトは、画像や動画などのファイルを管理する個人向けサービスのシステム構築である。データ容量はPペタバイト級に上る。このシステムをユーザー企業は6カ月で構築したいと要望した。

 どうすればシステムを構築できるか。納期の問題で、オンプレミスでは難しいと考えた田中氏は、パブリッククラウドの導入を前提に調査した。するとクラウド事業者A社のサービスであれば、重要な要件を満たせることが分かった。

 その要件とは、障害などの際にデータを消失させないためのものである。Pバイト級のデータともなると、全データのバックアップを取るのは難しい。代替策として、データ更新時に複数のロケーションのストレージに同時に書き込むといった仕組みを実現する必要がある。A社のサービスはこうした機能をサポートしていた。

 もっとも、パブリッククラウドを採用する場合は別の懸念が生じる。特に議論になったのは、ユーザー企業が求めるレベルの可用性(稼働率)をいかに確保するかだった(図1)。

図1●詳細非公表のパブリッククラウドの内部仕様を明らかにした上で基盤を設計
[画像のクリックで拡大表示]

 A社は、99.95%以上の稼働率をSLA(Service Level Agreement)で保証する。しかしユーザー企業は、99.99%以上の稼働率を求めていた。

 このためNTTデータ社内の有識者からは「納期を延長してオンプレミスで構築する提案をすべきではないか」という意見も上がった。だが田中氏は、ユーザー企業が納期を重視していることを考え、クラウドの採用を前提に可用性を担保する手段を考えることにした。

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