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アイルランドのヒギンズ大統領が、この4月に史上初めて英国を公式訪問した。1922年に自治が認められてから92年目という(正式独立は37年)。2011年のエリザベス女王のアイルランド訪問に続くこの訪問で、両国の歴史的和解が完了したのである。
ヒギンズ大統領は、ウェストミンスター寺院の無名戦士の墓を訪問し、献花した。これは、韓国大統領が靖国神社に参拝することに匹敵する。
韓国は日本の植民地だったかどうかの議論があるが、言葉の遊びをしても仕方がない。インドが英国の植民地だったというのと同じ意味の植民地でなく、英国とアイルランドの関係のようなものというのが正しい。つまり、対等の併合の形だが、実質的には一方的支配という意味だ。
だから、「韓国は日本の植民地だったのか」と聞かれたら、私は「アイルランドが英国の植民地だったというなら、そうでしょう」と切り返している。いずれにせよ、両国が和解するのに92年もかかったのである。
日韓双方とも「歴史認識の共通化だ」「和解だ」ということは徐々に進めるべきで、焦る必要はないと思う。
むしろ、大切なことは互いの現状に敬意を払いあうことだ。
その意味では、安倍晋三首相の昭恵夫人が韓流ファンというのは大いに結構なことだ。さらに、韓国からの客人を歓待することも大事だ。特に、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が訪日できる環境になったら、最大限の敬意を、目に見えるかたちで払うべきだろう。