韓国は1992年に中国と国交を樹立したが、中国はかつて従属国だったこの国の大統領が訪中するたびに、旧王宮である紫禁城で歓待し、対等の関係を演出して韓国民を喜ばせている。
日本としても皇居なども含めた手厚い歓迎行事で、現在の韓国への敬意を示すことが過去への思いを氷解させるはずだ。天皇陛下のご訪韓が成功すれば総仕上げの意味を持つだろう。
それから、江戸時代の日朝関係への間違ったとらえ方も、困りものだ。
李王朝から将軍交代の祝賀に訪れていた朝鮮通信使は「ある種の朝貢使節」というのが、日本側の認識である。「対等の関係だった」という指摘は、近代日本の外交をそれと対比して貶めるための虚構だし、何十年に一度の一方的遣使だけの交流が、平和で実りある善隣友好関係というのは笑止千万だ。
皇室や近代日本を貶めたい勢力は、思わぬ所に地雷を埋め込んでくるので警戒したいものだ。 =おわり
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「本当は偉くない? 世界の歴史人物」(ソフトバンク新書)、「日本史が面白くなる『地名』の秘密」(洋泉社)など多数。