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東トルキスタン備忘録
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ウイグル命懸けルポ!「警官の横暴・地獄絵図」

プレジデント 6月30日(月)12時15分配信

 私は先ほどの遺跡に向かう途中でも、やはり地元の警察に連行され、似たような尋問を受けている。その結果、警官と新疆生産建設兵団傘下の工作隊員(人民解放軍の諜報担当者)がべったりと貼り付き監視するなかで遺跡に行くことになった。現地の住民と接触する機会などあるわけがないのだ。

 そもそも、私はこの日、これ以前にも警官に何度か拘束されている。

 正午、県の中心部に到着して手近なホテルに入ると、受付の女性に問答無用で公安局へ連れていかれ、パスポートを押さえられて30分の尋問を受けた。やがて公安経営の別のホテルに放り込まれると、今度はホテルのロビーで、別の女性警官1人とアサルトライフルを装備した警官3人に尋問を受けた。質問の内容はすべて似たり寄ったり、いずれも極めて執拗だ。

 彼らが行く先々に現れる理由は、現地の社会の隅々にまで密告網が張り巡らされているためだ。漢民族からの雇用差別で職にあぶれたウイグル族の若者を、当局が月給800元(約1万3000円)程度で雇用。同胞の行動を監視したり不審者を密告したりする協力者に仕立てている。お陰様で、私はどこに行っても尋問を受ける。特にこのイマ郷の警官は意地が悪かった。

 「日本人は中国領土の釣魚島(ディアオユィダオ:尖閣諸島)を奪ったペテン師どもだ。徹底的に取り調べてやる」

 リーダー格の中年警官が叫ぶ。

 「釣魚島はどこの領土だ? 」
「貴様は安倍晋三の靖国参拝を支持しているのか、答えろ! 」

 もはやウイグル問題とは何の関係もない。単なる嫌がらせである。

 私は彼の怒鳴り声を聞きながら、警察署の庭に立たされ続けた。シルクロードに落ちる夕日がじりじりと肌を灼いた。


■少数民族政策の失敗経済発展の恩恵なし

 新疆ウイグル自治区は、かつて「西域(さいいき)」と呼ばれた。往年の中島敦や井上靖の歴史小説ではお馴染みの土地だ。現在も少数民族が数多く暮らしている。

 新疆は1950年代に中国へ正式に併合されたが、漢民族の支配に対する住民の違和感はいまなお大きい。現地に1000万人いるウイグル族はイスラム教を信仰し、ティルク(トルコ)系の言語を話す。彼らは支配者の漢民族とは、民族・文化・宗教・言語などがまったく異なる人々なのだ。

 だが、中国経済の高度成長が始まった90年代半ばから、漢民族による新疆への経済支配が大幅に強化されはじめた。新疆は石油や天然ガスなど資源の宝庫で、さらに中央による公共事業投資が盛んなことから、中国本土からの移民が殺到。漢民族人口は90年からの20年間で65%増の伸びを見せ、いまや900万人近くに達した。

 結果、新疆経済は毎年のGDP伸び率が10%を超える好景気に沸いている。現在は区都のウルムチはもちろん、カシュガルやホータンなどの地方都市でも中心部を漢民族移民たちが占め、中国本土と変わりないような大型スーパーや高層マンションが街を埋めつつある。昨今は成長の鈍化が噂される中国経済だが、フロンティア地帯の新疆はいまだに高度経済成長を続けているのだ。

 しかし問題は、土着の少数民族――特に共産党とのコネや中国語の会話能力を持たないウイグル族の庶民層が、こうした経済発展の恩恵をまったく享受できておらず、不満が蓄積しているという事実である。

 例えば南部のホータン地区の昨年の1人当たりGDPは8141元(約13万円)で、漢民族が多いウルムチ市の約9分の1。漢民族の企業や商店が、差別意識からウイグル族の雇用を拒否するケースも多く、格差は拡大の一途をたどっている。

 政府側は少数民族への住居の提供や教育支援の拡大など「アメ」も提示しているが、馴染みのある旧市街を破壊されたり学校での中国語教育が推進されたりすることに反発する住民は多く、政策は必ずしも有効な効果を挙げられていない。

 ゆえに、ウイグル族の不満も限界に近づきつつある。

 09年にはウルムチ市で大規模な騒乱が発生し、漢民族を含めた数百人が死亡。最近でも、昨年10月にウイグル族男性が自動車で北京の天安門へ突っ込んで自爆し、死者5人と日本人を含む数十人の負傷者を出す事件を起こした。また今年3月には、雲南省昆明市の駅前でウイグル族数人が刃物で漢民族を次々と殺傷し、29人の死者を出した。

 ――こうした少数民族政策の失敗と、それに反発する一部のウイグル族の暴走の結果生まれたのが、私が冒頭で体験した陰惨な密告・監視社会だ。

 私は日本のパスポートを持ち、曲がりなりにも警官の言葉を理解できる(中国語がわかる)ため、あの程度で済む。

 しかし、田舎で暮らすウイグル族の農民は中国語が話せず、逃げ場も存在しない。言葉もろくに通じない支配者から、毎日のように恫喝的な尋問を受け続けるのは相当な屈辱だろう。しかも、腹が立って文句を言ったり怯えて「不審」な行動を取ったりすれば、よくて逮捕、運が悪ければその場で射殺なのだ。

 事実、昨年12月には、カシュガル近郊の村で女性や未成年を含む一族14人が死亡する事件が起きている。一説では、結婚式の準備で集まっていたところを「不審な集会」と密告され、警官に踏み込まれて皆殺しにされたという。花嫁の顔を覆うヴェールを警官が剥ぎ取ったことに親族が激怒し、つい手を上げたのが事件の発端だった。

 また今年4月には、アクス地区でバイクに乗って信号無視をした17歳のウイグル族少年3人が警官と口論になり、やはり射殺されたと伝えられる。

 いずれも中国当局は「テロリストの鎮圧」だと発表しているが、言葉通りには受け取りづらいはずだ。こうした「テロ鎮圧」政策に反発して、やがて本物のテロや騒乱も起きる。まさに負の連鎖だ。

 5月26日、習近平国家主席は新疆問題を討議する会議の席上で「従来の政策は正しかった」と発言するなど、歩み寄りの姿勢を改めて拒否した。

 密告・尋問・虐殺・騒乱――。国外からの目が届きにくい砂漠の果てで繰り広げられる悲劇は、今後も容易には終わりそうにない。

 中国の闇は深い。

安田峰俊=文・撮影

転載元アドレス

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140630-00012848-president-bus_all


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