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【スポーツ】<首都スポ>磯辺高のヨット愛 県立だけど関東トップレベル2014年7月4日 紙面から
お金のかかるイメージの強いヨット(セーリング)というスポーツで、奮闘している県立高校がある。千葉・磯辺高ヨット部だ。昨年は高校総体のFJ級で男子ソロ2位、今年も関東大会同級で男子が2位、7位、8位。女子は3位に入賞した。私立の強豪、慶応高や逗子開成高にまったく引けを取らず、関東3強の一角を占める公立校を訪ねた。 (藤本敏和) 午後3時半すぎ。並木道に面した校門から台車に載ったヨットが次々に顔を出す。6車線道路を横切り、数百メートル先の稲毛ヨットハーバーまで長さ5メートル近く、重さ約120キロの艇体を生徒がゴロゴロ引いていく。千葉県立磯辺高の毎日の光景だ。 ヨット部なら当たり前…ではない。ほとんどの学校はヨットをハーバーに保管する。ただ、首都圏の保管料は高額だ。それを節約するために磯辺高は毎日、校内からヨットを引っ張って運んでいるのだ。県立高校が、月1000円という部費でヨットを続けるためのやりくりの一環だ。 「特に苦ではないです。これ以外のやり方も知りませんし(笑)。基本的にはその船に乗る2人が引いていきます。台車に載せれば軽いので、女子も大丈夫です」とキャプテンの川島健太(3年)。台車への積み降ろしやマストの設置などは、全員で協力しあう。 節約はそれだけではない。そろいの練習着、ユニホームはなく、思い思いの格好で活動している。船首や船尾にロープが引っかかるのを防ぐための専用器具はほぼ買わず、ペットボトルで代用。ヨットも年代物を修理しながら大事に乗っている。活動時間のかなりの部分は艇体の修繕だ。 そして、年末年始になると、部員総出で郵便局の年賀状の仕分けのアルバイト。バイト代から各1万円を出し、装備の購入費に充てている。 磯辺高ヨット部はそうした努力を結果に結び付けている。昨年は高校総体で男子ソロ2位(今井拓也・田中颯人)と表彰台に。今年6月に行われた関東大会でも、男子は運営の不手際で表彰台独占こそ逃したが、2位(植木武成・岩井裕樹)、7位(久保田大介・川島)、8位(佐藤武・玉井瑛士)。女子も3位(北林妙恵子・宮野菜々)と、3年生全員が高校総体出場を決めている。 強さの秘密は、海上に浮かぶ時間が少ないため、逆に磨かれた集中力。そして陸上トレーニングと毎週末のように駆けつけるOBたちの熱心な指導にある。 見逃せないのは、苦労をしているからこそのヨットへの思い入れの強さだ。基本的に1年間は1ペアで1艇を専有するが、「手入れしたり自分が乗りやすいようセッティングしている間に、ヨットがものすごくかわいく感じられてくるんです。翌年、後輩に譲るときは『絶対! 絶対大事にしてね!』と言いましたし、後輩がぶつけてへこませたりしてたら、めちゃめちゃショックです」と宮野。毎日、海へ引っ張っているからこその愛着だ。 ヨットというスポーツは、高価な最新鋭艇やセールの方が速いという側面もある。だが、そんなハンディは「ヨット愛」でカバーだ。磯辺高は、8月に湘南港江の島ヨットハーバーで行われる高校総体でも、強豪私立以上のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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