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【スポーツ】

<首都スポ>明学大にメイジ魂 高橋HCがけん引

2014年7月5日 紙面から

明治学院大を率いて2年目の高橋HC。体もハートも大きい=東京都日野市の日野自動車グラウンドで(大友信彦撮影)

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 伝統校にチャレンジだ! 今季の関東大学ラグビーで、ひそかに注目を集めそうなのが、対抗戦Aグループに初昇格した明学大だ。日本ラグビーの歴史を築いてきた古豪の早慶明、無敵の大学王者・帝京大などがひしめく大学ラグビーのトップリーグで、かつて明大で活躍した高橋一聡ヘッドコーチ(HC、43)率いる新参者は9月開幕の対抗戦で、どんな戦いを見せるのか? (大友信彦)

 昨年度の対抗戦Bグループ2位に食い込んだ明学大は入れ替え戦でAグループ7位の成蹊大を破り、強豪ひしめくAグループに昇格した。しかし、今年の春季大会C組(対抗戦とリーグ戦両グループの下位校6校)では、リーグ戦グループ2部に転落した拓大に0−91で敗れるなど大敗の連続。全敗は免れたが、C組最下位に終わった。それでも、明学大を率いる高橋HCは「春はほとんど大敗でした。でも、けっこう満足しているんですよ」と笑うのだ。

 「春は勝敗にはこだわらず、自分たちの力を出すこと、やってきたことを貫くことだけ考えました。自分たちの立ち位置を理解して、強くなるための戦いです。だから選手も、60点や90点取られて負けても『楽しかった』と言ったりする。今は学んでいる段階。強くなる手応えがある」

 昨春に着任した高橋HCはその前年、母校・明大のFWコーチを務めていた。明大時代はロック、ナンバー8で、元木由記雄さん(元日本代表)と同期。2度の大学選手権、3度の対抗戦優勝に貢献し、卒業後は伊勢丹(廃部)などで活躍した。

 「明学は誰がどのポジションか分からないくらい体形が同じ。大きい選手がいない。明大とは大違い。それがかえって面白いと思った。脳みそが柔らかい。『ラグビーはこうする』という先入観がない。これは魅力です」

 高橋HCが掲げたキーワードは「クラック(ひび)」だ。明大など強豪校は一人一人が壁をぶち破ろうとするのに対し、明学大は一発で崩そうとするのではなく、小さなカナヅチで、小さなヒビができるまで地道にたたき続ける。「それを続ければ、いつか崩れる瞬間が来るかもしれない」。選手は先入観がない分、勝手なプレーに走らず、愚直なプレーを反復する。

 「自分たちから近場で仕掛けて、相手に当たって攻撃を重ねて、チャンスが来るまで我慢を続けるのが僕らのラグビーです」と穂戸田(ほとた)貴好主将(4年・茗渓学園)。一見、単調な作業を支えるのは、高橋HCの徹底したポジティブ思考だという。

 「一聡さんは、どんなときも悲観的にならずに、良い部分を見つけて選手を励ましてくれる。それでいて、個人個人のやることはしっかり見ている。選手はみな『この人についていけば間違いない』と信じています」

 強豪校と立て続けに対戦するシーズンは過酷を極めるだろう。残留だって簡単ではない。それでも穂戸田主将は「楽しみです。誰でも味わえるわけじゃないし、昇格を決めた去年の先輩たちへの感謝を何か残して後輩につなげたい」と言い切る。

 高いレベルで戦えること自体を楽しむ。高橋HCも同じ思いだ。

 「落ちないことだけ考えて選手を次へ温存したり、小細工するつもりはない。明学の歴史を考えて、強くなるために、成長するシーズンにしたいです」

 1日にはトップイーストの日野自動車へ出向いて実戦スクラムや試合形式の練習も敢行。外国人選手を含む社会人相手に勤勉にタックルし、ボールを奪い、果敢にアタックした。愚直に、果敢に。新参者のチャレンジが始まる。

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 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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