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【サッカー】

<ブラジルに聞け!>トニーニョ「向上心止まっていませんか?」

2014年7月4日 紙面から

現役時代のゴールパフォーマンス「飛行機ポーズ」を披露してくれたトニーニョさん=サンパウロで(松岡祐司撮影)

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 ワールドカップ(W杯)ブラジル大会で、日本代表は1次リーグであっけなく姿を消した。なぜ勝てなかったのか? どうして力を発揮できなかったのか? 「第二の故郷」の躍進に期待を寄せていたブラジル人の元Jリーガーたちは、母国での日本の戦いを見て、何を思ったのだろうか。分析や評価とともに、日本への「提言」を聞く。第1回は、清水などで活躍した元ブラジル代表FWトニーニョさん(49)。

 日本代表の戦いぶりについて問うと、トニーニョさんは開口一番、「自信がないように見えた」と問題点を指摘した。選手個々が実力を培い、チームとして戦う準備も整えてきた。なのに、肝心の本番で大失速…。

 「昔と違って、いまは約半分の代表選手が海外でプレーしている。ただ、強くなっているのに、本質はあまり変わっていないような気がする。自信がないんだ。代表チームのユニホームを着た途端、何をするべきか忘れてしまったようだった。『もっと上を目指すんだ』『もっと強くなるんだ』という気持ちが見えなかった。コートジボワール戦の前半は勝っていたのに、それで満足してしまったのかな。後半こそ、もっと激しく、畳み掛けなければいけないのにどうしてしまったんだ」

 力はあるのに、重圧や逆境をはね返すパワー、エネルギーに欠けていた。その要因は何か。

 「ブラジル代表では常にチーム内で競争がある。いつも、頑張り続けないと試合には出られない。競争にさらされること、その競争に打ち勝つことが本物の自信につながるんだ。例えば、本田はあまり良くなかったけど、ずっと使われ続けていたので、そういう自信は生まれにくい。自分の脅威になるライバルがいなかったんだ。それは、本田自身が向上したり、自信をつくったりする機会を奪ってしまったのかもしれないと思う」

 約20年前と、今。日本の選手たちを知り、代表チームを見続けているからこそ、トニーニョさんは強く感じることがある。

 「僕が日本でプレーしていた当時は、まだ十分に環境が整っていなかった。海外経験があるのはカズ(三浦知良)だけで、国際舞台もアジア杯とW杯予選くらいしかなかった。だけど、選手たちはもっとうまくなりたい、もっと強くなりたいという気持ち、気概にあふれていた。カズ、ツナミ(都並敏史)、トツカ(戸塚哲也)、カトキュー(加藤久)、ハシラタニ(柱谷哲二)。昔の選手たちが持っていたような向上心が、いまは止まっていませんか?」

 ならば、4年後のロシア大会に向け、日本はどうするべきだろうか。

 「クラブと代表チームは別物。それでも、選手たちはクラブと同じようなプレーを代表チームでもできるようになる必要がある。選手たちはいつでも、どこでも、どんな状況でも、それがW杯であったとしても、同じレベルの試合ができるようにならなければならないと思う」 (サンパウロ、取材・構成=松岡祐司)

 <トニーニョ(本名アントニオ・ベネディット・ダ・シルバ)> 1965年3月23日、サンパウロ州生まれの49歳。現役時代はFW、攻撃的MF。89年にブラジル代表デビュー。グアラニ、フラメンゴなどを経て、91年に読売クラブ(現東京V)移籍。日本リーグの最終シーズンとなる91−92年に18ゴールを挙げ得点王。92年途中に清水入りし、95年には浦和でもプレー。得点を奪った際の飛行機ポーズでも人気を呼んだ。Jリーグ通算105試合出場、43得点。今月から埼玉県内の高校でサッカーを指導する。

 

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