現在、日本での解散権の行使は、内閣総理大臣をおいて他にできないことになっている。憲法(第三条第七項)によればそうある。
にもかかわらず、首相が誕生する前から、あたかも新しい首相は、就任直後に「解散しなければならない」というような「流れ」ができてしまっていた。
麻生首相は一度も
解散日を明言していない
9月24日、麻生首相が誕生した。
だが、解散を打つ気配はない。それもそのはず、麻生首相はただの一度も解散日について言及したことはない。繰り返すが、ただの一度もだ。
困り果てた新聞・テレビの政治部は、「解散」の流れを止めないために、再び「先送り」論を展開する。
〈11月2日投開票 衆院選 首相意向〉(読売新聞/9月25日)
まったくもって麻生首相が気の毒に思えてくる。決めてもいない解散日程を勝手に作られた挙句、今度は勝手に「先送り」されるのであるから。
なんのことはない、マスコミは自分たちで捏造した「解散日」を勝手に動かして、麻生首相の解散への意欲がぶれている、と言っているだけなのだ。
思い出すことがある。昨年暮れ、福田前首相が中国に外遊した時のことだ。内政懇(外遊した首相が国政について同行記者団と懇談すること)で、内閣改造を問われた福田前首相は、「年明けに改造をするかどうするか考える」と答えた。
翌日、新聞各紙には「年明け内閣改造へ」という文字が躍る。福田首相はぶら下がり会見で否定する。だがもはや「流れ」は止まらない。
結果、新年になっても内閣改造をしなかった福田首相に対して、新聞・テレビは次のように書いたのだ。
「首相、内閣改造、断念へ」