長時間練習しても秀でたスキルが身に着くとは限らないの研究結果

2014年07月06日 11時30分

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123RF
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練習や訓練に時間をかければ、それだけスキルやパフォーマンスが向上すると思いたい。だが、高いレベル技量に関していえば、練習にかけた時間は必ずしも重要な役割を果たしていないことが、米国プリンストン大学、ミシガン州立大学、ライス大学の共同研究により明らかになった。

過去の科学論文を分析

研究チームは、訓練と成果の関係について検証した科学論文88件(累計被験者数1万1135人)をメタ分析した。

メタ分析とは、統計的分析がなされた複数の研究を収集し、様々な角度から統合したり比較したりする研究法のこと。より高い見地から行う”分析の分析”だ。

対象とした分野は音楽(ピアノ、バイオリンなど)、ゲーム(スクラブル、チェスなど)、スポーツ(サッカー、レスリングなど)、専門職(軍のパイロット、サッカーのレフリー、コンピューター・プログラマー、保険の営業など)、教育(大学の心理学科、看護教育など)。

建設的関係はあるものの、高レベルのスキルに関しては重要性が認められず

メタ分析の結果、大半のケースで練習や訓練にかけた時間と成果(パフォーマンス)との間に建設的関係は認められた。だが、スキルやパフォーマンスの個人差に関して、練習・訓練の累計時間で説明できる部分はわずか12%程度であることが分かった。

分野別では、ゲームが26%、音楽が21%弱、スポーツが18%、教育が4%、専門職が1%以下との結果に。

では何が重要な要素なのか?

他者より秀でたレベルのパフォーマンスをするうえで、より重要となる要因について、研究者は、どれだけ早い時期にその活動を開始したか、知性、性格、作業記憶(認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持し操作するためのシステム)の容量が関係しているのではないかと見ており、これらの要因について、さらに分析を続けていきたいと述べている。

プリンストン大学らの研究結果は『Psychological Science』に発表された。

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