*写真はイメージです。教授とは関係ありません。
「人類が絶滅する6のシナリオ」第1章冒頭で出てくる河岡義裕ウィスコンシン大学マディソン校教授兼東大医科学研究所教授がついに、ヒトの免疫系を完全に回避できるインフルエンザを生成してしまわれたようです。どびょ~ん。
この新型ウイルスは、2009年にパンデミックを起こし世界で推定29万~57万人の死者を出したH1N1を基にしたもの。
今の人は大体、H1N1インフルエンザウイルスに対する免疫がついているので、比較的脅威レベルは低いのですが、河岡教授の新型H1N1は人体の中和抗体を回避できるよう逆遺伝学的手法で遺伝子操作したものなので、免疫系で感染を食い止めることはできません。
生成した河岡教授の狙いは、H1N1をパンデミック(世界的流行)の手前の状態にして、どういう遺伝子の変化が起こるのか調べることでした。英紙ザ・インデペンデントには、H1N1株の変化を観察しワクチンの改善に役立てるための実験であり、もう研究は終わって、これから成果を科学誌に発表するところだと話していますよ。
---------------------------------------ラボで適正な封じ込め状態のもと、免疫回避のウイルスを複数選定することでわれわれは、2009 H1N1ウイルスに免疫回避力を与える鍵となる部位複数の特定に成功した。
臨床分離株の中のウイルスには、ウイルスタンパクに起こる変化と同じ変化が認められた。これは回避力のあるウイルスが自然界に現れること、また、われわれが行ったような臨床検査が自然界の現象と関連性があることを示唆するものだ。
生成した亜種ウイルスの数、高度な分析を鑑みるにつけ、われわれの研究はこの領域に貢献できるものと確信する。
あらゆる研究にリスクはつきものだ。しかしリスクを和らげる方法はある。私の研究所で行うインフルエンザウイルスの研究はすべてそうだが、今回の研究も経験豊富な研究員たちがしかるべき封じ込め状態で、バイオセイフティ委員会の完全審査と事前承認を得て行った。
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エボラウイルス研究がバイオセーフティーレベル最高度の4に指定されているのに対し、ウィスコンシン大学マディソン校のウイルス学研究所はレベル3。しかも河岡教授がこの研究を行ったラボはレベル2なので、「封じ込めレベルが甘いんじゃないか」という懸念の声も上がっています。
大学側は「外に漏れた危険はない」と言ってますけど、先日、炭疽菌がうっかり漏れてパニックになったアトランタ米疾病対策センターですらレベル3…まあ、あれが漏れたのは設備というより単純な人為ミスですけどね。
数年前にもオランダ人がスーパーウイルスつくって論文公開の是非をめぐって大騒ぎになりましたけど、あれはまだ人類の半分を殺す殺傷ウイルスって話でしたよね。一気に全人類ですか…ぬう…。
映画「コンテイジョン」のようなことにならないことを祈りましょう。
James Baker - Gizmodo SPLOID[原文]
(satomi)
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