集団的自衛権:「集団」「個別」区別せず 政府方針 

毎日新聞 2014年06月21日 02時30分(最終更新 06月21日 02時30分)

 ◇閣議決定めぐり、憲法解釈上は「自衛の措置」と

 政府は、閣議決定で集団的自衛権の行使を容認する際、国際法上は集団的自衛権だと説明する一方、憲法解釈上は「集団的」を明示せず「自衛の措置」とする方針を固めた。20日の与党協議会に示した閣議決定原案で、日本の武力行使を「国際法上の根拠と憲法解釈は区別」すると明記。また自公両党は同日、国連の集団安全保障での武力行使解禁を閣議決定に明記しない方針で一致した。

 原案は、集団的自衛権を「他国に対する武力攻撃が発生し、国民の権利が根底から覆されるおそれがある」時に行使できると規定。その武力行使は「国際法上は集団的自衛権が根拠となる」としたが、憲法解釈上の根拠は明記していない。

 安倍晋三首相は閣議決定に「集団的」の文言を盛り込むよう指示。一方、公明党は集団的自衛権を認めていない現行の憲法解釈との整合性を重視しており、政府関係者は「国際法上は集団的自衛権に当たる活動でも、国内では『自衛の措置』と区別して説明し、首相と公明の双方を立てる」と話す。

 実際、国連憲章は加盟国が自衛のために武力を使う際の根拠として、個別的自衛権と集団的自衛権を挙げているが、日本の憲法には記述がない。政府は「区別」することで国際社会への説明と国内向けの説明を分けられるとみており、公明党が「集団的自衛権の行使を容認したわけではない」と支持者を説得する余地も生まれると判断した。

 だが、集団的・個別的を明確に分けてきた従来の政府見解との矛盾は避けられない。国連憲章51条は個別的・集団的自衛権を行使した国に、国連への報告を義務付けており、この矛盾によって国際社会の信用を損ねたり、国民の不信を招いたりする懸念もある。

 一方、自公両党は20日、集団安保での武力行使について水面下で調整。公明党が「党内での意見集約が困難」と反対し、閣議決定への明記は見送ることで一致したが、「自衛権の行使」として事実上可能とすることを検討している。

 政府・自民党は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を6月中に公明党と合意し、7月1日に閣議決定する調整に入った。直後に衆参両院で閉会中審査を開くことも想定している。【青木純、飼手勇介】

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