教育事業大手のベネッセコーポレーション(岡山市)は社員が休日を分散取得できる取り組みを始めた。休祝日に出社する代わりに実験的に平日に休めるようにし、すでにゴールデンウイーク(GW)で実施した。ワークスタイルの多様化が加速するなか、企業競争力の源泉のひとつが「しっかり休むこと」であるのはどこも同じ。運用の難しさに直面しつつ、「休日改革」にチャレンジしている。
■準備不足でも大好評
ベネッセで働く小林知子は5月12日月曜日、職業体験施設キッザニア東京にいた。GW後の平日で、本来なら出勤する日。しかし、今年はGW休みを後ろに変えたのだ。子供の通う小学校が振り替え休日だったこともあり、親子で楽しむことができた。「平日料金で入れるし、月曜日なのですいていてよかった」(小林)
ベネッセがチャレンジした休日分散化のひとコマだ。希望すれば休む日を後ろの平日に移すことができるようにし、具体的には4月29日、5月5、6日の計3日の休祝日の休みについて、5月12~14日を中心に平日へずらした。星野リゾート(長野県軽井沢町)や日本交通からの声がけにベネッセコーポレーション社長だった明田英治(現ベネッセホールディングス取締役)が応じた。ベネッセの岡山県の本社や東京本部、各地の支社に勤める総勢およそ3千人の社員を対象に、3月末から希望者を募った。
最終的に希望したのは68人で、業務の調整をしやすいシステム開発や事務などの担当者が中心だった。休日分散化を担当した人財部の森克義は「準備期間が短すぎた」と悔しがる。「GWに旅行へ行く人はすでに予定を組んでしまっていた。本来なら6カ月前には告知したかった」
それでも、後ろにずらして休みを取った社員の満足度は総じて高い。「平日で費用が抑えられたので、普段は泊まれないところに行くことができた」「混雑していると難しい祖父母との旅行が実現できた」などの声が寄せられ、取得者の95%が「休日分散を継続してほしい」と希望した。
休みが充実するといった、オフィス外でのメリットだけではない。休日出勤のため、電話やメールがほとんど入ってこない分、集中が途切れず仕事がはかどったという社員が多かった。小林も実は「仕事が立て込んでいた」が、休日での出社によって「他から急な用事が入ることがなく、結果的に仕事を計画通りに進められた」。
混雑や割高な宿泊料金などを気にせず休みを楽しめるなど、消費者にとってメリットは大きい。分散を呼びかける星野リゾート社長の星野佳路は「フランスなどがすでに実施している大型連休の『地域別取得』を国に提言しているが、民間でできることから始める」と語る。
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