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「人体内に爆弾」の恐怖、アルカイダの爆弾専門家に各国が警戒

AFP=時事 7月6日(日)15時25分配信

【AFP=時事】通常の空港保安検査を通り抜けることのできる新型の爆発物が作成されたとの情報に懸念が広がる中、国際社会の目はイエメンのある人物に向けられている──国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の爆弾製造専門家イブラヒム・アシリ(Ibrahim al-Asiri)容疑者(32)だ。

英国での爆弾処理は「爆発の17分前だった」、仏内相

 米政府はこの情報を受けて、空の便で欧州と中東から米国に入る旅行者に保安検査を強化すると発表した。

 米当局は具体的な犯行計画を特定したかどうかを明らかにしていない。だが専門家らは、この脅威の背後に誰かがいるとすれば、それは「アラビア半島のアルカイダ(Al-Qaeda in the Arabian Peninsula、AQAP)」とともに政情不安定なイエメン南部に潜伏しているサウジアラビア人、アシリ容疑者だと指摘する。

 アブ・サレハ(Abu Saleh)の名でも知られるアシリ容疑者は、米国の最重要指名手配リストにその名がある元化学学生で、米無人機による度重なる攻撃をかいくぐって生き延びている。アシリ容疑者が得意とするのは発見が困難な非金属の爆発物で、四硝酸ペンタエリスリット(Pentaerythritol tetranitrate、PETN)と化学薬品の起爆剤を用いることが多い。

 アシリ容疑者が関与したとされる事件は、2009年12月25日の米国行きの航空機の爆破未遂事件、2010年にイエメンから米シカゴ(Chicago)に四硝酸ペンタエリスリットを仕込んだプリンターのインクカートリッジを小包で送ろうとした事件、2009年のサウジアラビア副内相暗殺未遂事件などが知られている。


■失敗から学ぶ危険な男

 仏犯罪学者で航空保安に詳しいクリストフ・ノダン(Christophe Naudin)氏は、シカゴへの小包爆弾が発見されたのは、従来の保安検査ではなく情報収集活動のおかげだったと語る。

「(爆弾は)全ての検査をくぐり抜けた。だが、AQAPに潜伏していたサウジアラビアの情報機関の要員がフライト番号と経路、小包番号を連絡してきたおかげで発見することができた。人的情報活動がなかったら爆発していただろう」と、ノダン氏はAFPに述べた。

 アシリ容疑者は事件ごとに爆弾製造手法を改良することで知られている。米中央情報局(CIA)のジョン・ブレナン(John Brennan)長官はアシリ容疑者について「極めて危険な人物で、相当の訓練を受けた経験豊富な人物」と述べ、「アシリ容疑者の最も危険な点は同じことを繰り返さないことだ。失敗するたびに学び、新たなことを試してくる」と説明している。

 一部の情報要員からの報告によると、アシリ容疑者はシリアの医師と協力し、爆発装置を人体に手術で埋め込むというほぼ発見不可能な方法を実験しているという。

 世界のイスラム武装勢力の盟主の座をめぐり、イラクとシリアの広い範囲を支配下に置いて注目を集めたイスラム過激派「イスラム国(Islamic State、IS)」との競争に直面したアルカイダが派手な攻撃を企てている可能性があると専門家らは指摘している。また一方で、アシリ容疑者がIS側についたことをうかがわせる報告も上がっており、ISのために攻撃の準備に取りかかった可能性も指摘されている。【翻訳編集】 AFPBB News

最終更新:7月6日(日)20時45分

AFP=時事

 

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