■ 準々決勝の1試合目W杯も終盤戦に突入して準々決勝がスタートした。その最初のカードはドイツ対フランスという欧州の大国同士の直接対決となった。ドイツは決勝トーナメントの1回戦はアルジェリアに苦戦したが延長戦の末、2対1で勝利してベスト8進出を決めた。一方のフランスはナイジェリアに2対0で勝利している。決勝トーナメントの1回戦でアフリカのチームを下した点も両チームの共通点となる。
16大会連続出場となるドイツは「4-1-2-3」。GKノイアー。DFラーム、ボアテング、フンメルス、ヘーヴェデス。MFシュヴァインシュタイガー、ケディラ、トニ・クロース。FWトーマス・ミュラー、クローゼ、エジル。バイエルンのFWゲッツェはベンチスタートで36歳のFWクローゼがCFで起用された。体調不良でアルジェリア戦を欠場したDFフンメルスが復帰して、DFラームは右SBで起用された。
対するフランスは「4-1-2-3」。GKロリス。DFドゥビュシー、ヴァランヌ、サコ、エブラ。MFキャバイェ、ポグバ、マテュイディ。FWヴァルブエナ、ベンゼマ、グリーズマン。ナイジェリア戦は192センチのFWジルーをCFに置いてFWベンゼマを左サイドに置いたが、ナイジェリア戦で交代出場してゴールにも絡んだFWグリーズマンを左サイドでスタメン起用。FWジルーはベンチスタートとなった。
■ ドイツが1対0で逃げ切る。試合は前半13分にドイツが先制する。左サイドでFKを獲得すると、MFトニ・クロースがゴール前に上げたボールをDFフンメルスが豪快にヘディングで決めて幸先よく先制に成功する。DFフンメルスは初戦のポルトガル戦でもゴールを決めており今大会2ゴール目となった。その後は暑さの影響もあって動きの重い展開となる。ともになかなかチャンスを作れなくて1対0で前半を折り返す。
後半もなかなかペースが上がって来ない。ドイツは途中出場のFWシュールレが2度ほど決定機を迎えるが決めることができない。フランスもエースのFWベンゼマに2度ほどチャンスが訪れるが、DFフンメルスのブロックとGKノイアーの好セーブに阻まれて同点ゴールを奪うことができない。フランスは後半40分にFWジルーを投入するが、192センチの高さが生きるシーンは作れない。
結局、試合は1対0でドイツが逃げ切ってベスト4に一番乗りを果たした。ドイツは2002年の日韓W杯以降は4大会連続でベスト4に進んでおり、1954年大会以降で考えると「ベスト8止まり」は4回だけ。残りの12大会は優勝か、準優勝か、3位か、4位という成績なので安定感は際立っている。一方のフランスは思うような戦い方はできなくて力の差を感じる試合だったと言える。
■ ドイツが4大会連続でベスト4入り優勝候補の1つと言われるドイツが順当に勝利したと言える。フランスもGLの2試合目で難敵のスイスに5対2で圧勝するなどGLの3試合と決勝トーナメントのナイジェリア戦はいい戦いを見せていたが、チームとしての完成度や個々の選手の経験値の差は大きかった。ドイツの出来も決して良くはなかったが、ドイツが勝ち上がって、フランスが敗れたのは先のとおりで順当と言える。
この日はセットプレーから決勝点を奪ったが、苦しい試合でセットプレーからゴールを奪うことができると楽になる。フランスも高さの無いチームではないが、ドイツはウイングのFWトーマス・ミュラーも長身で、左SBのDFヘーヴェデスはそもそもとしてCBが本職の選手で、MFトニ・クロースやMFシュヴァインシュタイガーやFWエジルも180センチを超えており、小さいのはDFラームくらいである。
フランスも両CBやMFポグバやFWベンゼマには高さがあるが、175センチ前後の選手も何人かいる。こうなるときっちりとマークに付くのは難しくなる。やられたのはDFフンメルスのところで、一番、警戒しなければならないところだったが、フランスの2人のCBというのは他のところもカバーしつつ自分のマークマンの動きを止めなければならない。なかなか大変な仕事になってくる。
■ 理想的なCBと言えるDFフンメルス殊勲の決勝ゴールを挙げたDFフンメルスは理想的なCBと言える。192センチと高さがあって、フィードもできて、落ち着きもあって、統率力もあって、ルックスも良くて、力強さがあって、優雅さもある。絶対的なスピードはないので、スピード系の選手に振り回されるシーンはたまにあるが、世界最高峰のCBであり、こういうCBがチーム内に1人いたら戦い方は本当に楽になる。
4年前の2010年にMF香川がドルトムントに移籍した当時はそこまで有名な選手ではなかった。その年の5月にドイツ代表として初出場を飾ったが、南アフリカW杯のメンバーには選ばれなかった。「こんな選手がいるのか・・・。」、「ドイツ代表はこんな選手でも当落線上なのか・・・。」と驚いたが、その後、ドルトムントで大活躍して、ドイツ代表にも定着して、最終ラインの要になっている。
「欧州にはこんな若手CBがゴロゴロいるのか・・・。」と思ったが、幸いにして、DFフンメルスのような選手はほとんどいなかった。間もなくして「欧州でもっとも才能のある若手CBの1人」と言われるようになったが、日本にも何人かいる期待の若手の大型ディフェンダーの誰かがDFフンメルスのような選手になって、絶対的な守備の要になってくれると日本サッカーの未来も明るくなる。
■ ダイナミックなチームだったフランス代表一方のフランスは今大会は非常にいいサッカーをしていたと思うが、ドイツ相手では分が悪かった。今大会のフランスの一番の武器と言えたのはMFポグバとMFマテュイディのインサイドハーフで、この2人が攻守両面に渡ってハードワークしてボールを奪った瞬間にダッシュを開始してゴール前に入っていくのがパターンになっていたが、この試合ではそういうシーンはほとんど無かった。
なかなか崩しきれなかったので、最後はFWジルーを投入して高さを生かそうとしたが、不発に終わった。今大会は日本代表も含めて試合の終盤にパワープレーを敢行するチームはいくつかあるが、なかなか成功してない。長身のフォワードを投入したり、長身のCBを最前線に入れて成功した例は今大会は非常に少ないと思うが、結局のところ、パワープレーというのは最後の手段である。
普通に攻撃を行った場合、1試合の中で生まれるチャンスシーンは10回前後で、決定機は4・5回程度である。なので、チャンスは10分に1回程度で、決定機は20分~30分に1回程度と言える。したがって、ラストの5分ほどパワープレーを行ってチャンスを作れなくても不思議はないし、「一度でも際どいシーンを作ることができたら成功」と言えるが、それも難しいのが実際のところである。
大エースのMFリベリーを欠いたフランスにとって「ベスト8」というのは悪くない成績だと思う。次への期待が膨らむ大会になったが、次は2年後のユーロ2016で自国開催となる。ある意味では今回のW杯よりも重要と言えるが、ここ数年で、再び、世界トップレベルに到達し得る期待の若手が何人も出てくるようになった。粗さと荒さはあったが、ダイナミックさは今大会で屈指のチームと言えた。
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