頭の上に電球を。

2014年1月22日 (水)
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「若者よ、旅に出なさい。
まだパスポートを持ってないなら、今すぐ作りなさい。
夏になったら、リュックを背負って、デリー・サイゴン・バンコク・ケニヤに行き、ショックを受け、感動しなさい。
食べたことのない料理を食べ、面白い人と出会い、冒険に出て、危険から身を守りなさい。
帰ってきたら自分の国が違って見えるでしょう。
首相も同じ人なのに、違う人に見えているでしょう。
音楽、文化、食べ物、水資源の見方が変わるでしょう。
シャワーを浴びる時間も短くなっているはず。
「グローバリゼーション」の本当の意味もわかってくるはずです。
それはトム・フリードマンが言ったフラット化する世界ではありません。
地球の気候の変化と環境破壊が決して嘘ではないことも分かるでしょう。
ある人の一日は、バケツ4杯分の水のために20km歩くだけで終わります。

あなたのフライトの向こうでは、どんな本も先生も教えてくれない授業が待っています。
多くの人は、帰ってきた時に初めて全てがはっきりし、頭の上に電球が浮かぶのです。」
ーヘンリー・ロリンズ(一部改訳)

だから私は19歳の春休みにバックパックをしょって飛行機に乗りました。
20歳の春休みには数枚の着替えと洗濯道具と「地球の歩き方」を持って、数ヶ月、外に出ました。
大学2年生の頃です。

まだ軍事政権下で鎖国まっ只中の、極彩色のミャンマーにも行った。
ラオスの電気も通らない、道路もない少数民族の村の井戸水で、服をじゃぶじゃぶ洗った。
まだ地雷の残るカンボジアの穴ぼこだらけの道を、他の外国人たちと一緒に乗り合いトラックで国境を越え、アンコールワットの石段を登った。
ポルポトによって200万人の人々が人間の手で殺された場所「キリングフィールド」の赤土の上に立った。
敷地をうめつくす盛り土の下に、子供や母親、父親、教師、兄弟の亡骸が無数に眠っていた。
その盛り土の上を、牛がのどかに散歩してた。
人の力で何万人も死ぬって、目の当たりにすると骨がふるえた。
そして赤土の集落にある宿に帰れば、砂ぼこりだらけの無垢な瞳の子供たちと、日が暮れるまで遊んだ。

数ヶ月後、日本に戻ってきた時、
JRや地下鉄に乗る人たちが、公園で遊ぶ子供を眺める親たちが、コンクリートで出来た人形のように見えて恐ろしくなったのを、そしてそこにいる自分もどこか空虚になっているのを、今でも鮮明に覚えています。
と同時に、
「そのコンクリートの中で、どのように生きていくべきか」も分かった気がします。

そして今はこの日本で生きる母として、何が大切で、何が必要なものなのか…日々学び続けながら格闘し、楽しんでいます。

韓国人だ中国人だと騒ぎ立てる人は、PCを閉じて飛行機に乗り、海外旅行でもなんでもいいから一回、外に出てみなされ。

世界には、いろんな肌の色と性別の人達がいて、自分もそのうちの一人なんだということに気づくから。

私たちはみんな猿なんだ。

ヘイトスピーチとかしてる人は、とりあえずまず、自分らが故郷の田舎に帰って、親孝行とか地域のためになることをしてくだされ。

自分たちが仲間はずれにされた記憶を他人にぶつけないでくだされ。

ふつーに、たぶん、周りから見たら心がない鬼にしか見えません。
恥ずかしいし悲しいし。

泣いてる人がいたら、その時、その泣いてる人の属性とか、国籍とか、性別とか、関係ないじゃないですか。
日本は学校の中でも会社の中でも、地域の中でも、ほぼ全員が黒い髪の日本人だけで、ほぼ日本人の中で育っていくけど、それはかなり特殊なことなんだ。
気づかないうちに視野が狭くなっていてもしょうがない。

"Education is the most powerful weapon we can use to change the world. ー Nelson Mandela"
(『学ぶこと』は、世界を変える最大の武器になる。ー ネルソン・マンデラ)
教科書には載っていない冒険を。
年表や慣用句を覚えるのは「学び」ではなく「暗記」。

生きる力を養おう。
料理でも、ビジネスでも、農業でも、コミュニケーションでも、怒り方でも、遊び方でも何でもいいから。どんな状況になっても、どんな国に行ってもやっていける(=生き延びられる)フットワークの軽さがこれからの時代必要だと思うの。
どんな小さなことでもいい、その力を、何かひとつでも持っていてほしい。
特に女の子。恋人でも伴侶でも、誰かにすべてを預けてしまうような人生を送ってはいけない。
きっと素敵な王子様はいるかもしれない。
でも、「王子様を待ってちゃダメ。
自力で自分を救い出せるようになりなさい。
現実の人生に備えなさい。
自力で生きる力を身につけなさい。」誰かの言葉。
自分の子を守りなさい。

先生たちも、スカートの丈の長さや髪のカラーリングの色よりも、もっと大切なことを見てほしい。
教科書に載らない(載せられない)こともいっぱい教えてほしい。
教えられないなら、教えられない理由を教えてほしい。
子供は常に真実を知りたい。
黒板の問題を指されて、
「分かりません」ではなく、「分からない理由」を言える子供を育みたい。


あっと、話がそれましたが。
頭の中に電球を。
おもしろき世を見に行こう。
ひらめきと発見と、感動と、時には口論と、感謝。
楽しいよ。

若者よ、旅に出よう。
母親よ、子を旅に出そう。

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