日韓観光:「怒られっぱなしでは…」訪韓日本人客が急減
毎日新聞 2014年07月06日 19時12分(最終更新 07月06日 19時43分)
結局、その日の会議では、韓国側が8月に日本の関係者をソウルに招待し、観光関連のシンポジウムを開催して打開策を共に考えたいと提案。また、日本側も来年2月に日韓観光フォーラムをソウルで開き、日本から1000〜2000人規模の業界関係者を訪問させるとの計画を伝えた。
こうしたイベントを通じ、観光交流を活発化させたい考えだが、実際の観光客増につながるかどうかは、日韓関係の政治状況も絡み先行きは不透明だ。
◇ヒーリング、韓流スター、ぼったくり補償−−ソウル、呼び戻し躍起
ソウルを代表する高級ホテル「シェラトングランデウォーカーヒル」の地下1階にあるカジノに近づくと、中国語の大歓声が聞こえてきた。扉の中に入り、圧倒された。70台以上あるルーレット、ポーカー、ブラックジャックなどのテーブルは、ほぼ中国人客で埋まっていた。
12年に韓国を訪れた中国人観光客は284万人だったのに対し、日本人は352万人でトップだった。しかし、13年には中国人433万人、日本人275万人と大きく水をあけられた。
外国人観光客の8割が集中するソウル市の幹部は「日本人観光客の落ち込みは大きな問題だ」と厳しい表情をみせる。市によると、中国人観光客は大きく伸びているものの、最大の繁華街である明洞(ミョンドン)など有名な観光スポットを巡り、大型免税店で多額の買い物をする団体ツアー客が多い。
「経済全体には貢献しているが、勢いが持続するかどうかは疑問だ」と言う。一方、日本人は個人ツアーで訪れるリピーターが多い。エステやグルメ、ショッピングなど自分好みの店を見つけて楽しむほか、ソウルから地方観光に出向くケースも多く「小売店の売り上げや周辺地域の発展に貢献している」と指摘する。
そのため、市は昨年から対策を練り日本人観光客を呼び戻そうとしている。その一つが、市が独自に質の高い観光スポットを発掘し、旅行会社に紹介する事業だ。今年は月ごとに「ヒーリング」「韓流」などテーマを決め、1日のモデルコースを提案する。例えばヒーリングでは、1960年代の伝統的な家屋が残る城北洞(ソンブクドン)や、ファッションブランドが集まる狎鴎亭洞(アプクジョンドン)に昨年オープンした「塩ヒーリングカフェ」などを紹介。カフェでは約8トンの天日塩を使って壁や床などを造った「塩ルーム」でケーキを楽しみながら体をいやすことができるという。