28年にわたりイスラエルでナチス戦犯を追跡する活動を行っているエフライム・ジュロフ氏は先日、朝鮮日報とのインタビューに応じた際、日本軍慰安婦問題の解決策を語ったが、その内容は非常に明快だった。それは「加害国である日本に世界で恥をかかせる」というものだ。それのためには慰安婦の「歴史館」や「博物館」を建設し、慰安婦問題を世界に広く知らしめ、世界から共感を得なければならないというわけだ。

 「韓国には慰安婦歴史館のようなものがあるのか」

 インタビューの途中に出たジュロフ氏からの突然の質問に記者は言葉を失った。日本の妄言が相次ぐたびに、常にクローズアップされてきた慰安婦問題だが、よく考えると韓国国内には慰安婦歴史館や博物館といったものが思い浮かばない。またそのようなものがあるのかどうかさえ記者の頭でははっきりしなかった。「ソウルの日本大使館前に『慰安婦少女像』が設置されている」と答えようとしたがやめた。

 ジュロフ氏が提示する解決策は、まさにイスラエルが過去数十年にわたり行ってきたことと同じだ。イスラエルを訪問する全ての国賓が必ず訪れるのは、首都エルサレムにあるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)歴史館「ヤドバシェム」だ。米国のオバマ大統領、ドイツのメルケル首相や、5月にイスラエルを訪問したフランシスコ・ローマ法王など、イスラエルを訪れた外国政府関係者らは、全員がイスラエルの大統領や首相と共に必ず「ヤドバシェム」を訪問する。

 「ヤドバシェムにはホロコースト生存者の証言4万件以上をはじめとして、第2次世界大戦におけるユダヤ人大虐殺の惨状について記録した各種資料などが展示されているが、これらを目の当たりにした外国首脳らが何を感じるかは容易に予想できる。しかもそのすぐ隣ではイスラエルの大統領と首相が、ユダヤ人たちが70年前にナチスの弾圧によりいかなる苦痛を受けてきたかについて説明し、引き続き変わらない支持を求めている。

 1953年、イスラエルの首都エルサレムで18万平方メートルの広さの敷地に建設された「ヤドバシェムは、ヘブライ語で「名前を記憶せよ」という意味だ。毎年100万人の観光客が訪問し、昨年は世界最大の旅行情報サイトが世界の観光客を対象に行ったアンケートで「世界で4番目に印象深い博物館」に選ばれている。外国人観光客も「ヤドバシェムを訪問すれば、当時の惨状についてあらためて考えるようになる。

 韓国国内にも日本軍慰安婦歴史館は存在する。京畿道広州市には「日本軍慰安婦歴史館」があり、また2年前にはソウル市麻浦区の住宅を改造した「戦争と女性の人権博物館」がオープンした。しかしこれらは慰安婦被害者を支援するソウル近郊の施設「ナヌムの家」や「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」といった民間団体が運営するもので、国が直接運営する慰安婦関連の常設の歴史館や博物館は今のところ存在しない。女性家族部(省に相当)によると、政府が行っている慰安婦関連の記念事業は忠清南道天安市の独立記念館にある慰安婦展示コーナーと、オンライン上で運営される「慰安婦サイバー歴史館」しかない。このような状況の中、先月25日には元慰安婦のキル・ウォンオクさん(87)がフランスのパリに行き、パリ市民の前で日本の謝罪を要求する1132回目の水曜集会を行った。