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2014-07-06

「創価学会は原点に返れ!」今思い出す、或る「三つの忠告」…/「忠誠」という古くて新しい問題

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そんな訳で創価学会公明党集団的自衛権解釈変更に関する議論は一通り収束し、「天文法華の乱」に続く「平成法華の乱」は終わりを告げました。

ここで組織が分裂するとか、そういうこともなさそうですね。

この議論の中で「政教分離」の話が出てきた。

で、そこで…35年前、1980年にも公明党創価学会の「政教分離問題が議論になったことがあるのだけど、この時の文章が…以前うろ覚えで紹介したが、実にロックというか原理主義というか、アポカリプスナウ、な感じでいいのです。

実際のところ、政教分離とか宗教世俗国家ということを突き詰めていくとこうなるしかない。

探していたところようやく発見できたので、実際の文章を紹介させてもらいます。

仲のよい友人がぶらりと来て「創価学会の人が秘かに相談に来ましてネ」と言う。「ヘェー、あなたの所へ! あなたの所も教敵じゃないんですか。また何で……」と言うと、「今回のスキャンダル問題にどう対処したらよいかという相談に…」ということでした。

 

「で、何て返事をしたんです」

 

「別に心配はない。スキャンダル崩壊するならカソリック教会などはとうの昔に消えている。問題はそんなことじゃないでしょう、と言いました」

 

 なつほど、これは塩野七生さんの専門ですが、ルネッサンス法皇アレクサンドル6世やその子のチェザーレ・ボルジアのスキャンダルなどに比べれば、今回のこと(※この当時の創価学会スキャンダルについては各自調査)は確かに、象と蟻ぐらいの違いでしょう。

 

「じゃ、問題は何なんです」

 

「私が言いましたのは三点です。まず国立戒壇憲法違反云々のとき、教義憲法違反して何で悪い、われわれにとって法華経が絶対である』と言わなかったのか。こう言わなければ信教の自由が犯されるでしょ。

 第二に公明党との関係ですがそのとき宗教政党で何で悪い』となぜ言わなかったのか。こう言わなければ結社の自由が犯されるでしょ。

 第三に本山との問題ですが、これは解釈権の問題、いわば競技問題発展すれば正統・異端問題でしょ。なぜ自らの解釈権の正統性を主張しなかったのか

 まあこれだけですね。この基本をあやふやにしたら、教会はとうの昔に消えていたでしょう」

 

ウーム、だけどそれはヨーロッパ論理ですなあ。日本ヨーロッパではないから、そんなこと言ったら、開きなおりだなんて、また非難されるでほうな」

 

「だけど、日本民主主義のお国」

 

ウーム、しかし使徒パウロが『外なる人』『内なる人』を峻別して以来の、二千年の伝統はないからなあ。これが民主主義の基礎なんだろうけど…」

がははは。読んだ当時も爆笑したあとこちらも「ウーム」と考えさせられたが、今読み直しても面白いわあ。

 

「『教義憲法違反して何で悪い、われわれにとって法華経が絶対である』こう言わなければ信教の自由が犯されるでしょ。」

 

まさにこれは民主主義、そして政治宗教をめぐる至言であり、そしてパラドックスなのだ…たとえば「闘う民主主義」のスタンスに立てば、日本国憲法より法華経が絶対であり、後者が前者に反するなら、それを民主主義の敵として対峙するということもあり得るわねえ。


この本に収録されている。

のちに、別の対談で、この「仲のよい友人」が小室直樹氏であることを知ったのだった。

山本七平全対話 (4) 日本教の社会学

山本七平全対話 (4) 日本教の社会学



この問題は「忠誠」の問題である。

佐藤優氏と手嶋龍一氏の対談本−3冊目になる―のこれで、佐藤氏が非常に重大な発言をしている。

日本外務省の場合は、創価学会員のリストを作っています。人事課にそのファイル存在する。作った当人から直接聞きましたが、これもやはり二重忠誠を心配してのことです。国益に関わる事態になったとき、日本国より創価学会の言うことに従うんじゃないかと。外務人事当局の発想は、二重忠誠を忌避するという外交インテリジェンス根深習性から来ているんです。それは同時に国家の本性でもあります。

同書の中でこの話は、イギリス情報部やアメリカ大統領選挙で「カソリック信者は、教義的にはローマ法王に忠誠を誓い、その命令に従う義務がある。国家への忠誠とそれは両立するか」という問いからつながって出てきた話題です。

ぐあいのいいことに、以前この話題をかいた過去記事が当道場本舗にはある。

ケネディ時代カソリック信徒教皇への服従義務があるから大統領にするのは危険」という議論があった - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130812/p2


たとえばバチカンにいるローマ教皇アメリカカトリック大統領に対して、あることを命令したとしたらどうなるのであろうか。ある国家との戦争突入や和平交渉の進展といった大きな国際問題でも良い。あるいはある種の犯罪者の釈放と言った細かなことかもしれない。その場合にアメリカ大統領がどのようにふるまうのであろうか。特にローマ教皇意向アメリカ国家としての利害が対立した場合、大統領はどうするのであろうか

バチカンローマ教皇」が「創価学会名誉会長」であっても同じだ。

で、今回集団的自衛権解釈変更について、たぶん名誉会長も容認したんだろう。


あ、話がそれた。

本来的には「法華経日本国憲法」であるかもしれない、その教義に基づいて創価学会員は動くかもしれないから、国家安全保障の一環として政府機関創価学会員の情報は把握しておく

…この論法、実をいうと大問題かもしれないわけだ。宗教差別ということになるかもしれないわけで。実は1990年代週刊文春がまったく同じような論理で「創価学会の人々がどのような公的な職業に就いているかは社会的意味がある」として…ここが一種の”アイデア”だが、創価学会系の高校大学卒業者という一種の公開情報を基にして、「創価学会学校卒業した官僚裁判官リスト」を発表したことがある。

この時…たぶん現「WILL」の花田編集長体制で、一番対立が激しかった朝日新聞が、夕刊コラムだったかな、「それはやりすぎだ、許されないことだ」と批判した。


上の小室直樹三原則

アメリカイギリス問題になった「カソリックは最終的に教皇国家、どちらに忠誠を誓うのか?」という問い、

外務省は省内の創価学会リストをつくっている」という佐藤優情報……


すべては「忠誠」という問題につながっていく。

これを語りたかったのは、21世紀によみがえったカリフがついにアラブ民衆の前に姿を現し、メディアを通じて「全ムスリムカリフへの忠誠」を求め始めたからだ…

中東イスラーム学の風姿花伝

http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-153.html

ISIS改め「イスラーム国家(IS)」の指導者で「カリフ・イブラーヒーム」を名乗るようになったバグダーディーの金曜礼拝への演説(khutuba)の映像が土曜日になって盛んにインターネット上で流れるようになった。

f:id:gryphon:20140706111719j:image

6月29日 ISISから「イスラーム国家(IS)」への名称変更宣言、カリフ政体設立宣言。

 

7月1日 バグダーディー自身の音声による声明で「世界ムスリムイスラーム国家移住せよ」と煽る

 

7月4日 カリフ制宣言後の最初の金曜礼拝で劇的に支配地域の「首都」の大モスクに登場。初めて公衆の目に触れる。しかも明らかに「プロ」の声色と内容で説教、朗誦。

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