集団的自衛権容認の閣議決定後の高校生の反応について報告が相次いだ高教組の定期大会=4日、那覇市古島の教育福祉会館
「先生、僕たち戦争に行かないといけないの?」。4日、那覇市内で開かれた高教組(県高等学校障害児学校教職員組合)の定期大会で、政府による集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更の閣議決定を受け、生徒たちが不安げに質問してくるようになったとの報告が現場の教諭たちから相次いだ。高校生たちは「戦前」に回帰しかねない危険性をはらむ国の変化を敏感に感じ取っているようだ。
本島北部のある高校。30代の教諭が授業を始めようと教室に入ると「辺野古に基地が来ると危ないよね」「戦争が始まるの?」と率直な疑問が相次いだ。
「こんなことは初めてだ」と教諭は驚いた。そして、沖縄に在日米軍の専用施設の74%が集中すること、米軍が他国と戦争した場合、基地が集中する沖縄が攻撃の標的になる可能性を指摘する声があることを説明した。
「じゃあ、これからどうすれば良いの? 閣議決定で決まったらもう変えられないの?」。生徒たちの問いは続いた。同教諭は「20歳になったら君たちには投票権がある。どういう政治をしてほしいか考え、そして選挙に行くことだ」と伝えた。
本島中部の高校でも「先生、集団的自衛権について話そうよ」と声が上がった。40代の教諭は「担当する4クラス全てでこの話題が出た」と生徒の関心の高さを感じた。
本島南部の学校に勤める50代の教諭は「『先生、普通の授業している場合じゃないよ』と言われた。今まで基地問題について話をしても反応しなかった子たちが、今回は自ら議論を提案してきた。世の中が今までと違っているということを感じ取っているのだろう」と語った。
「教え子を再び戦場に送るな」。4日の定期大会会場に掲げられた言葉。日教組が1951年に制定したスローガンで長い歴史を持つ言葉だが、ある教諭は「この言葉の重さをこれほどかみしめたことは今までなかった。私は一人の教え子も戦争には行かせたくない」と力を込めた。(仲井間郁江)
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