2014-07-06 日本はおこちゃまの国
先日まで、小浜島、西表島、石垣島など八重山諸島で 2週間を過ごしました。
ちきりんは海好きで、日本では沖縄のあちこち、海外ではタヒチ、モルジブにカリブ海からニューカレドニア、さらには、タンザニア(ザンジバル島)やスリランカやイスラエル(紅海)、そしてセブやバリなどアジアのリゾートも含め、世界中のビーチに行ってます。
そこでたまに沖縄に行くと痛感するのが、日本の(沖縄の)過保護振りです。
すべての人にライフジャケット着用を求め、どんなに泳ぎが上手くてもボートの周りから少しでも離れると大声で戻れと言われ、水温が十分に高くても(スノーケルの人にまで)ダイビングスーツを着ろと行ったり、
体験ダイビングはもちろん、ファンダイビングでさえ、完全に「みんなと一緒」にしか潜らせない。
ビーチでさえ、やたらと狭い範囲をブイで囲み、その外には一切出るなとか言う。干潮時には、ブイの中では大人は腰まで位しか水がなかったりするのに。
さらにはビーチも「朝の9時から」とかいって、早朝に泳がせてくれない。理由? もちろん「ビーチ監視員の勤務時間外だから」でしょ。(南国なので朝の 7時でも水温は十分です。てか、9時になったら日差しが強すぎるくらい)
これねー。安全は安全かもしれませんけど、正直言って、ある程度の経験のある人には、「全く自然が楽しめない」ってレベルです。
先日も、バリ島で経験豊富なダイバーが流された事件もあったし、どこであれ海の事故は起こります。登山者も毎シーズン、遭難者が出るよね。自然が甘くないのは海も山も同じでしょう。
しかーし、そんなこと当たり前で、そんなことみんなわかった上で、十分な装備と準備をし、慎重に行動する。自分の命を守るのは、規則じゃ無くて自分だという意識をもつ。それが自然の楽しみ方なんじゃないの??
海外にいくと、驚くほどなんのルールもありません。モルジブでもタヒチでも、ビーチにブイなんて浮かべてないし、水上コテージからはすぐに外洋近くまででられる。、(ものすごく危ない場所は、遊泳禁止になってます。それはあたりまえ)
ホテルのツアーもあるけど、現地の漁民?みたいな人が勝手にやってるツアーなんて、筏みたいな船で客を海に連れて行ったりする(錨がついてないので、泳いでる間に船の方も流されてしまう)
めちゃくちゃ危ない! と思うこともあります。
でも、だからこそ自分で気をつけるし、自然を甘く見なくなる。自然とはどういうものか、学びます。私も某国のツアーでは、連れて行かれたポイント(ここで潜れという海の上の場所)があまりに波が高かったので、「やめよう。帰りましょ」って言って戻ってきたことがあります。
もちろんお金は払いました。でも、たかだか数十ドルで命を無駄にはできない。そういう判断を業者任せにするなんてありえない。
★★★
そういえば、欧米系のホテルって(場所が欧米であれアジアであれ)プールが深いところも多い。
こういう普通のプールでも、浅くて 90センチ、深いところが 150センチくらいになって、大人でも足が付かない部分がある。理由は、おそらく昔は飛び込みが禁止されてなかったからでしょう。(浅いところで飛び込むと危ないので)
こーゆープールも、日本だったらそっこーで使用中止にされそう。
昔は日本の公園にも、たくさんの遊具がありました。でも、遊んでる子供が落ちて怪我をし、公園の管理者である自治体に管理責任を問う親が増えてから、遊具はどんどん撤去され、今やベンチしかないみたいな公園が増えてます。
自治体もホテルもマリンショップも同じでしょう。客が自然を存分に楽しめることより、自分たちの客が怪我をして、クレームを受けたり責任を問われたりしないことのほうが圧倒的に大事。だから止めどなくルールを厳しくし、大人も経験者も含めて全員を子供扱いする。
アメリカは「熊が出るような場所に住んでるなら、自分の拳銃で撃ち殺せ」という社会だし、ドイツの高速道路にも制限速度がありません。200キロで走ろうと 300キロだそうと自分の責任でやってくれって感じです。
アウトバーンだって事故がゼロってわけではないでしょう。それでも今までも(そしておそらくこれからも)制限時速ができたりはしなさそう。「運転を楽しみたい」という人には、すばらしい環境だよね。
一方の日本って、何の面でもほんとーにお節介。自然と遊べる場所だけじゃない。金融や労働市場でも同じ。しかも規制が増える理由は、「国民を守る」ためではなく、「自分が管理責任を問われるとイヤだから」だったりする。
沖縄は手軽に行けて海もキレイだから、日本人のあたしはこれからも行くと思う。でも、タヒチやモルジブに来てる客が、ここに来たらどうなるかと考えると・・・全く楽しめないでしょう。大人の遊びをさせてくれないのだから。あたしも彼らに「沖縄イイよ!」とは勧めない。
そして私自身も、海外の海に行くのはやっぱりやめられない。そこにいけば、本当に心から自然を楽しむことができるから。
日本はお子ちゃまの国なんです。
何かあったとき、すぐに誰かに責任を問おうとする人と、ぜったいに責任なんて問われたくないと思う管理者が多すぎて、どんどんおこちゃまの国に向かってる。
今まさにトップクラスが戦ってるワールドカップを見ていても思うけど、
こんなお子ちゃまの国で育てられては、戦うってことを本能的に身ににつけた国の人に勝つのは、ホントに難しいでしょう。
日本がこれからもずっとお子ちゃまの国なのは、それはそれで平和でいい。国民の多くが、そういう国であってほしいと思っているからこそ、どんどんそうなってるわけで。
ただし、こんなおこちゃまな国が世界の戦いで(なんの分野であれ、闘志や戦う気力やサバイバル能力が問われる分野で、)強くなろうなんてのは、あきらめたほうがいいと思います。
そんじゃーね
(注:写真はすべて海外)