国土グランドデザイン:「小さな拠点」全国5000カ所に
毎日新聞 2014年07月04日 21時40分
国土交通省は4日、2050年を見据えた国や地域づくりの指針となる「国土のグランドデザイン 2050」を公表した。集落が散在する過疎地では人口が減っても地域の活力を維持できるように医療、商業、行政など日常生活に不可欠な拠点施設を徒歩圏に集約した「小さな拠点」を全国約5000カ所に設置することを提案。地方都市では職住機能を中心部に集める「コンパクトシティ」化を推進することなどを打ち出した。
指針では、50年には10年時点の居住地の6割以上で人口が半減し、このうちの2割で人が住まなくなるとの推計を示し、「地域消滅の危機にある」と指摘。「小さな拠点」では、情報通信技術(ICT)技術を活用して、遠隔教育・医療を行ったり、行政、物流業者などによる各集落への配達サービスを実施したりすることで人手不足を補っていく必要性をあげた。
また、コンパクトシティ化を進めていく地方都市では、空港などの交通インフラや大型ショッピングセンターなどの地方都市が持つそれぞれの機能を活用し、約30万人程度の人口を維持した都市圏を複数の都市で形成していくことも打ち出した。
東京や名古屋、大阪などの大都市圏ではリニア中央新幹線や高速道路の整備、空港の拡張などで移動時間を短縮し、海外資本をさらに呼び込みやすくする。リニアとほかの交通網の接続を強化することで、地方都市にも3大都市圏の経済効果を波及させるほか、東京一極集中の緩和を狙う。
グランドデザインは中長期的な国土のあり方を示したもので、今後約10年間の国土づくりの方向性を示すため、今夏から議論が始まる国土形成計画にも反映される。【永井大介】