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CODE.00《Needs must when the devil drives.》
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『今』から3年前の、とある日の夜――"美地市 美地町"にある、少し古びた探偵事務所にて。 1人の少年が、窓から星々の輝く夜空を眺めていた。黒髪紫眼の、端整だが少々女性的な顔立ちの少年であり、年齢は17歳ほどだ。 「……叔父さん、まだかな……。折角、夕飯に麻婆豆腐作っといたのに」 夜空を眺めていた少年がそう呟き、溜息を吐く。 すると――事務所の外で、大きな物音が響くのが聞こえた。 「……? なんだ、一体? 叔父さんか……?」 呟きながら、少年は事務所の外へ出る。 そこにいたのは――地面に倒れ伏している白いスーツ姿の男と、ぶかぶかのフード付きのパーカーを被り首にマフラーを巻いた子供だった。 「なっ……!?」 衝撃的な現場を目の当たりにした少年は、驚いて額から汗を垂れ流す。 少年の目の前で倒れている男――それは、少年の叔父なのだ。 「叔父さん! 叔父さぁん!!」 子供の方には目もくれず、少年は叔父を起こそうとする。身体に一切傷痕は無いが、叔父は呼吸をしておらず心臓も止まっている。つまり、死んでいるのだ。 「なんで……なんで、こんな事に……一体誰が……」 ピクリとも動かない叔父を見ながら、少年は静かに震えながら涙を流す。 すると――叔父の傍らにいた子供が、泣いている少年に声をかけた。 「復讐したいかい?」 「……何?」 「彼をこんな目に遭わせた者に……復讐したいかい?」 少年は、子供の顔を見る。その子供は、フードの下で緑色の瞳を爛々と輝かせ、少年を見つめていた。 「君に、復讐と言う"欲"を満たす為に"悪魔"と契約する気があるのなら――ボクが、手を貸してあげるよ」 子供はそう言って、少年に手を伸ばした。 少年は倒れている叔父の顔を見、涙を拭って意を決した表情で再び子供と向かい合う。 「良い顔だね、これからよろしく。ボクの名前は"ケイト"、君は?」 「俺は……。俺の名は、"嘉戸 勝一"だ」 少年はケイトと名乗った子供の手を取り、立ち上がった。 そして、3年後――『今』から、彼らの物語が始まる。
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Date: 2014/02/02
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