2014.07.02 (Wed)
六月も終わり、ということでライトノベル系サイトでも総括系の記事をよく見かけるようになりましたので、その流れに乗って私も自分の視点で今年上半期のライトノベルの総括と今後の展望について書いてみたいと思います。
上半期の総括で扱うことは、
上半期ラノベ原作アニメ総論
多様化するゲーム小説
ファミ通文庫
富士見書房とネット小説
周りを活かす主人公論
今後の展望で扱うことは、
夏クールアニメ放送直前!
甘城ブリリアントパークのアニメ化はうまくいくか?
新興レーベルへの期待その2
今後の期待作
です。興味があれば続きをご覧ください。
上半期の総括で扱うことは、
上半期ラノベ原作アニメ総論
多様化するゲーム小説
ファミ通文庫
富士見書房とネット小説
周りを活かす主人公論
今後の展望で扱うことは、
夏クールアニメ放送直前!
甘城ブリリアントパークのアニメ化はうまくいくか?
新興レーベルへの期待その2
今後の期待作
です。興味があれば続きをご覧ください。
・上半期ラノベ原作アニメ総論
ラノベ原作アニメは、冬クールでは4本、春クールには8本、新作としてスタートしました。
冬クールでは、4本と数が少なかったことから、話題作と言える作品は登場をしませんでした。(魔法戦争に関しては別の問題で話題作となっていましたが) しいてあげるとするならば、同クールにNHK教育で放送をしていた「ログ・ホライズン」が秋から第2期を放送するという知らせが最終回で流れ、ファンを喜ばせました。
| 魔法戦争 (MF文庫J) (2012/09/01) スズキ ヒサシ、瑠奈璃亜 他 商品詳細を見る |
うって変わって春クールでは8本の作品がアニメ放送をスタート。その中でも期待をされていた作品は「魔法科高校の劣等生」でした。 以前からわりと期待作そしてあるいは問題作として扱われていて、ネット上では「これこそラノベ界の最終兵器だ」とかいう触れ回りがあった劣等生。
蓋を開けてみると、それは想像通りの賛否両論。この賛否両論を巻き起こしている年齢層を分析してみたらけっこうおもしろい結果が出るんじゃないか――なんて思ったりしますが。
個人的には、あのよくわからなかったサイオン粒子がウンタラカンタラが、映像化するだけでここまでスマートになるんだな―とか感心して見ていたのですが、やはりそれは原作を一読しているからこそ言える感想なのでしょうか?
| 魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫) (2011/07/08) 佐島 勤 商品詳細を見る |
春クールの中で人気を集めた作品は、MF文庫Jよりアニメ化をした「ノーゲーム・ノーライフ」だということは、世間の共通認識として見ても良いのではないでしょう。
| ノーゲーム・ノーライフ1 ゲーマー兄妹がファンタジー世界を征服するそうです (MF文庫J) (2012/04/30) 榎宮 祐 商品詳細を見る |
最強のゲーム廃人の兄妹が、ゲームで全てが決まるという世界に転生して、神を超えることを目標に無双劇を繰り広げる今作品は、スカッとする毎回のゲーム、予測のつかないゲームにおける兄弟の攻略の面白さ、そして11話のオープニングに代表された段々と飽きてくるところに投入するインパクトのある映像。いずれも高水準で、1クール楽しむことが出来ました。
もともとラノベ読み界隈では面白いと評判の作品でしたので、この世間での評判も順当なものと言えるのではないでしょうか。
同クールに登場した作品では、「ブラック・ブレッド」が堅実な人気ぶりを発揮。そして「棺姫のチャイカ」は、2クール目の放送が決定しました。
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・多様化するゲーム小説
これは今年上半期に限ったことではなく、ネット小説の煽りを受けてか、最近では多くのライトノベルでゲームをモチーフにした作品が多く発表されています。
何を言おうと、川原礫の二作品、「ソードアート・オンライン」「アクセル・ワールド」が火付け役になったということは想像に堅くありませんが、最近では多様なゲームを舞台にした作品が登場していることを抜きにゲームをテーマにした作品を語ることはできないでしょう。
SAOのようなログアウト不可形式を取る作品は、「スカイ・ワールド」「ログ・ホライズン」のように人気を博す作品も多いのですが、それよりも最近は、単純にゲームを楽しむ作品が増加傾向にあるのではないでしょうか。
そういった傾向が強いのは電撃文庫です。師走トオルの作品、「俺と彼女のゲーム戦争」は、実際に存在するゲームをキャラクターたちが攻略したり、勝負したりと、とにかく楽しむことを重視した作品となっています。また、同作者の「現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと」は、ゲームハードが擬人化するという、しかもメーカー公認という謎仕様。
| 僕と彼女のゲーム戦争 (電撃文庫) (2011/06/10) 師走 トオル 商品詳細を見る |
聴猫芝居の「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」は、ネトゲ廃人らの生活破綻っぷりを面白おかしく描いた作品。Hisasiの扇情的な挿絵の影響かなかなかの人気。内容も結構面白い。
その他にも「今日からかけもち四天王!」もネトゲをテーマにしています。
| ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? (電撃文庫) (2013/07/10) 聴猫芝居 商品詳細を見る |
電撃文庫では、ゲームとは直接関係はないものの、ダンジョン攻略のようにゲーム的な要素が大きい「巨大迷宮と学園攻略科の魔術師」「我が家のダンジョン」なども展開しているように、ゲーム的な小説というのが一種のメインストリームにあることはよくわかります。
| 我が家のダンジョン (電撃文庫) (2014/03/08) 天羽伊吹清 商品詳細を見る |
ファンタジア文庫からは「コンプリート・ノービス」が登場。これはデスゲームものですが、四月に登場した「Only Sense Online」はひたすらマイペースにゲームを楽しむ生産職が主人公のゲームを楽しむことが主体な作品。
| Only Sense Online―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫) (2014/04/19) アロハ 座長 商品詳細を見る |
スニーカー文庫からは、異世界コメディが面白いフェアと称して、異世界コメディを多数展開中。一巻の流れの中で、気がつけば毛玉の「神様ライフ」が登場。そして「丘ルトロジック」で有名な の新作、「エンド・リ・エンド」がスタート。恋愛ゲームを多面からみた小説は皮肉が効いていて刺激的。
| エンド・リ・エンド(1) 退屈で無価値な現実から、ゲエム世界へようこそ。 (角川スニーカー文庫) (2014/06/28) 耳目口 司 商品詳細を見る |
その他にも様々なインスパイア系ゲーム小説が出版されています。
前回の総括でも触れました、エンターブレインから発売されている「この世界がゲームだと俺だけが知っている」では、バグだらけのゲームに入ってしまった主人公がバグ技で斜め上の方法で攻略をするおかしさが人気を博しています。二月には同作者の「天啓的異世界転生譚」がファミ通文庫より登場。これはゲーム的世界に主人公がゴミスキルを大量に持って転生するというこれまた斜め上の展開が持ち味。
アルファポリスからは「THE NEW GATE」が書籍化。この作品はデスゲームを攻略後、主人公がその攻略した世界の未来に転生してしまうという複雑設定。
HJ文庫からは、「VRMMOを金の力で無双する」が発売。ネトゲにどっぷりハマってしまったお金持ちな主人公の破天荒さが売りな作品。
| THE NEW GATE〈01〉終わりと始まり (2013/12) 風波 しのぎ 商品詳細を見る |
アニメ化を経験した「ノーゲーム・ノーライフ」や、「異世界から問題児たちがくるそうですよ?」と言ったような、ゲームをモチーフにした作品が世の中で受けている今、親しみの持てるゲームというテーマを用いた作品が世の中に多く出版されるのは必然と言えるのかもしれません。SAO二期も放送間近。ゲーム小説というのは当分は人気のジャンルに留まることでしょう。
・ファミ通文庫に見えた方向性。次世代エースは見出せたのか?
昨年から今年の上半期にかけて、ファミ通文庫では多くの人気作品が完結を迎えました。
バカテスのおかげで知名度が向上したといっても過言ではないファミ通文庫でしたが、そのバカテスも終わりを告げまして、その穴を埋めるエースの登場が渇望されました。
その中で期待を持っていたのが、「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」(以下七々々)でした。
| 龍ヶ嬢七々々の埋蔵金1 (ファミ通文庫) (2012/09/07) 鳳乃 一真、赤りんご 他 商品詳細を見る |
七々々は四月~六月の間、フジテレビ系深夜アニメ枠のノイタミナにて全11話放送されました。オープニングテーマは、現在人気上昇中の中学生アイドルグループの「私立恵比寿中学校」が起用、そしてノイタミナ枠からすると異色の原作抜擢ということで、注目をされましたが......。
しかし蓋を開けてみると、不発感が。作画に関しては安定をしていましたが、同期に放送され人気沸騰を起こした「ノーゲーム・ノーライフ」のアニメと比べると、演出、展開が手堅すぎた感が拭えず、人気も低調気味......。私としては、遺跡というアトラクション攻略で、自らがアスレチックに挑んでいるようなワクワク感がうまく伝わってこなかったというのが非常に残念でした。
期待された七々々が不発気味、それなら私が期待していた他作品は、というと、「四百二十連敗ガール」は四巻で完結。「サイコメ」は八月発売予定のの六巻で完結、と軒並み終わるという皮肉。
バカテスの流れを踏襲するようなコメディー路線が長続きを見せない一方で、「覇剣の皇姫アルティーナ」はコミカライズが決定したように順調な推移を見せています。
| 覇剣の皇姫アルティーナ (ファミ通文庫) (2012/10/29) むらさきゆきや 商品詳細を見る |
発売するシリーズからのファミ通文庫の方向性として感じられるのは二方向です。
まず一つ目としては「異世界ファンタジーへの攻勢」でしょう。先ほどのアルティーナを筆頭に、勢力的に異世界ファンタジーを推しています。顕著なのは五月、「戦変のグラン」「狩魔のフォークロア」 「紅轍のクアドリガ」の3シリーズを同時に立ち上げるなどの、明らかなジャンルの偏りが観測できます。ファミ通文庫を運営するエンターブレインはソフトカバーのライトノベルを発行していますが、そこから影響を受けているのか?
| 戦変のグラン (ファミ通文庫) (2014/05/30) 櫂末高彰 商品詳細を見る |
二つ目は青春物語の精力的発表です。ファミ通文庫の青春系物語のエースといえば、多くの人が野村美月を思い描くことでしょうが、その野村美月が八面六臂の大車輪の働きをみせて、ファミ通文庫に青春物語の風を呼び込んでいます。「ヒカルが地球にいたころ......」の完結から間を開けず、新たな青春劇の演劇をテーマにした「吸血鬼になったキミは永遠の愛を始める」をスタート。初動もそこそこをマークし、安定さを誇示しました。六月には単巻もの青春物語「陸と千星」を発表しました。同作者のファンタジー「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」も私を含めた根強いファンを持っています。
| 吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる(1) (ファミ通文庫) (2014/05/30) 野村美月 商品詳細を見る |
「東雲シリーズ」で人気を集めた森橋ビンゴの新作「この恋と、その未来。」がスタート。性同一性障害を正面に据えた作品で、様々な意味での期待作です。
これにとどまらずファミ通文庫の青春もの攻勢は続きます。七月にはファミ通文庫のホームページ上で連載されている「 あじさいの季節に僕らは感応する 」が、八月にはココロコネクトの庵田定夏が描く「アオイハルノスベテ」がスタート予定です。
フ ァミ通文庫の活発な青春物語の発表が、新潮文庫nexの登場でさらなる活発化が予想されるボーダーズの波を受けて相乗効果を得られれば、ファミ通文庫に一大ジャンルを築くことができそうです。
| この恋と、その未来。 -一年目 春- (ファミ通文庫) (2014/06/30) 森橋ビンゴ 商品詳細を見る |
ファミ通文庫文庫は現在二方向に活路を見出していると考えられる上半期でした。さて、それは実を結ぶのかについては、時間を開けてからみてみたいですね。
・激戦区ネット小説。電脳の海で富士見書房は何を狙うのか。
小説家になろうが人気云々に関してはすでに様々なところで論じられ、新鮮味の薄いものになりつつあります。
「魔法科高校の劣等生」が現在アニメ放送中、アニメになるとだいぶあのかったるい理論がシャープになるなぁ、と個人的には感心していたのですが、どうも世間での評判は芳しくないというか......。
しかし、劣等生が売れているというのは紛れもない事実であり、いかにネット小説市場の潜在的な能力が高いか、ということを示してくれています。
書籍化する小説も数が増加するとともに発売されるネット小説関連の書籍も多様化をし、評価がうなぎのぼり中の「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のような王道まっしぐらなファンタジーや、先ほどでも触れましたが、SAOのようなデスゲーム的VRゲームものからは逸脱をしたVRゲームものである、「Only Sense Online」「VRMMOを金の力で無双する」、あるいは「フリーライフ」の書籍化でデビューした気がつけば毛玉がスニーカー文庫から「神様ライフ」を発表するというように、一口にネット小説という括りでは括れなくなりつつあります。
| 神様ライフ (角川スニーカー文庫) (2014/07/01) 気がつけば毛玉 商品詳細を見る |
その中で、自らもネット小説を書籍化をしながら、新たなネット小説の形を模索しているのが、富士見書房です。
今年に入って突然ネット小説界に参入をしてきた富士見書房は、ファンタジア文庫名義ではなく、富士見書房としてソフトカバー式のライトノベルを刊行。なろうのランク上位作であった「デスマーチから始まる異世界狂想曲」や「29歳独身は異世界で自由に生きた…かった。」を書籍化。そして「レジェンド」など続々とネット小説の書籍化に踏み出しています。
本家のファンタジア文庫でも十本スイの「金色の文字使い」、かっぱ同盟の「メイデーア魔王転生記」が登場しています。
| 金色の文字使い-勇者四人に巻き込まれたユニークチート- (ファンタジア文庫) (2014/05/20) 十本 スイ 商品詳細を見る |
その中で、富士見書房は新たな形の模索として「ファンタジアbeyond」を6月にスタートさせました。このサービスの売り文句は、タダでプロの作品を読める!という点にあります。いわば、プロ作品をタダで読めるという点で小説家になろうとの差別化を図っていると言えるかもしれません。参加している作家は、生徒会シリーズの葵せきな、ベン・トーのアサウラのような人気作家をはじめ、雑賀礼史のようなベテランまで幅広いです。
ファンタジア文庫が何をもってビヨンドを開始したのか、についてはドラマガをはじめとした様々な線で触れられておらず、推測しかできずに残念です。
そのため、今後富士見書房がどのようにビヨンドを展開していくのかは推測しかできません。このまま細細とした規模、広告戦略でプロ作品を連載していくのか、それとももっと輪を拡大してプロを巻き込み、ファンタジア文庫の一大コンテンツまで持っていくのか、はたまたなろうのようにアマチュアでも作品投稿ができるような自由参加型サイトに発展させるのか。個人的には最初の選択肢に落ち着いてしまうんじゃないかと思っていたりするのですが、やはりネット小説界をフルに活用するならば、残りの選択肢の方に富士見書房が舵をきって欲しいなぁ、と。
富士見書房の狙いは明らかにネット小説の流れにありますが、それを有効活用できているのか?については何とも言えない状況です。
・周りを活かす主人公論
ここでは、少し前と比べると若干落ち着いた感がある戦記ファンタジーの出版でしたが、実は要素を変えてまだその流れは顕著なのではないだろうか?ということについて考えてみたいと思います。
ここのところ続いていた戦記ファンタジーの特徴としては、主人公自らはあまり戦わずに、所謂軍師的ポジションについて、味方を活かすという形を取るものが多かったということにありました。
「ログ・ホライズン」の主人公はシロエは、腹黒メガネと言われるように、裏工作が得意なポジションであると同時に、戦闘でも付与術師という仲間を活かすことに特化したポジションで戦闘の主導権をにないます。「天鏡のアルデラミン」の主人公イクタは、圧倒的な知略で勝利を勝ち取りますが、自身の戦闘力はほぼ皆無。「覇剣の皇姫アルティーナ」の主人公、レジスも右に同じ。「聖剣の姫と神盟騎士団」の主人公ダークは、全く戦えないというわけではありませんが、フィーネら取り巻きと比べると月とすっぽん。.......というように、一目瞭然でした。
| 聖剣の姫と神盟騎士団I (角川スニーカー文庫) (2013/03/30) 杉原 智則 商品詳細を見る |
今年に入ってもそういった戦記ファンタジーは全く消えたわけではありません。スーパーダッシュ文庫からは「偽神戦記」が登場。主人公のクライヴは、才能と特殊な発明を持って状況を打開しますが、自身の戦闘力は皆無。その他にも星海社文庫からは第三回十字軍遠征をモデルにした「ジハード」がリブートしました。これも同じように主人公のヴァレリーはつかみどころのない飄々とした軍師として物語を主導していきます。
| 偽神戦記 首輪姫の戴冠 (集英社スーパーダッシュ文庫) (2014/04/25) 三国 陣 商品詳細を見る |
軍師のように、主人公だけれども周りを活かすことに徹した、黒子のバスケの黒子のような主人公を中心に据えた作品が増加傾向にあるのが最近の流れではないでしょうか。
もっともその形がわかりやすいのが自らが他キャラを教え導く教師のようなポジションにつく、というものです。
人気上昇中の「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」の主人公、シャールはいつでもやんごとなき方々をどう導くかを悩み、またその教えを受けるやんごとなき方々もその教えを受けて真剣になる姿がとても麗しいです。
ラノベ読み界隈で人気が高い「きんいろカルテット!」は、ポストロウきゅーぶ!の呼び声高い、青春部活ものであります。主人公はやはり中学生を指導するポジションについています。昨年のファンタジア大賞金賞作品の「空戦魔導士候補生の教官」は同じ流れを持っていると言えるでしょう。
| きんいろカルテット! 1 (オーバーラップ文庫) (2013/12/21) 遊歩新夢 商品詳細を見る |
今年発売された作品では、HJ文庫より発売された「魔法剣士のエクストラ」の評価が高く、講談社ラノベ文庫大賞優秀賞受賞作品の「サービス&バトラー」は、主人公が素人の女の子にテニスを教えこんで、強敵に勝つと直球的熱血スポ根ものでした。
| サービス&バトラー (講談社ラノベ文庫) (2014/05/16) 望月唯一 商品詳細を見る |
また、今度発売予定の今年のファンタジア大賞作である「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」も主人公は教師的ポジションについている作品の模様。
一種のトレンド的なものになりつつある教師的ポジションですが、周りを活かすということはそれだけではなく、自らがサポートに徹してヒロインらを輝かせるという作品もちらほらと見かけます。
スニーカー大賞作の「魔装学園H×H」では、主人公がヒロインにエロい行為をすることでヒロインに活力を与えるという、王道のようで邪道なサポート役を担っています。また、ガガガ大賞の「奇械仕掛けのブラッドハウンド」は、戦闘を受け持つのはもっぱらヒロインで、主人公というのはそのサポート、収束という役回りとなっています。
また少し毛色が違うかもしれませんが、ファンタジア文庫より発売された「Only Sense Online」の主人公ユンも、生産色そして支援特化型のキャラメイクをし、実際にレイドではその役で立ち回りを演じております。
| 魔装学園H×H (角川スニーカー文庫) (2014/01/31) 久慈 マサムネ 商品詳細を見る |
各レーベルの大賞を受賞する作品でもこれらの要素がうかがえるように、戦記ファンタジーの軍師ブームというのは一歩前進して、「周りを活かす主人公」という立ち位置に主人公を据えるというところに昇華した、と言えるのではないでしょうか。
・夏クールアニメ放送直前!!
七月に入り、夏クールアニメの放送開始時期となりました。
何と言っても夏の期待作といえば「ソードアート・オンライン」の第二期放送でしょう。
2012年の夏から2クール放送をされ、猛烈な人気をマークし、放送をスタートしてから、三ヶ月ほどは書店での品薄状態が続いた人気作の第二期放送ということで、二期もその人気をキープし続けることができるのか?
二期は小説5巻~のGGO編より再開。一期とは違う、fpsが舞台ですので、作画などの表現がどう変わるのか、に注目か。(キリトは銃弾斬ったりする男だから対して変化は無いかもしれないが)
| ソードアート・オンライン〈5〉ファントム・バレット (電撃文庫) (2010/08/10) 川原 礫 商品詳細を見る |
SAOと比べると、他の作品はどうしても小さく見えてしまいますが、HJ文庫からは「六畳間の侵略者!?」がアニメ放送スタート。
ガガガ文庫からは「人生」が、MF文庫Jからは「精霊使いの剣舞」が放送をスタートさせます。
| 六畳間の侵略者!? (HJ文庫) (2009/02/28) 健速 商品詳細を見る |
そして今期すでにアニメ以外のところで注目を浴びたのが、新進気鋭のレーベル、創芸社クリア文庫からのアニメ化の、「RAIL WARS! 日本國有鉄道公安隊」であります。
何があったのかはお察しくださいなのですが、とにかく、注目を浴びること自体は悪くないと、思うのですが、しかしその問題の本編の出来が不出来だったら目も当てられないな......。
| RAIL WARS!―日本國有鉄道公安隊 (創芸社クリア文庫) (2012/01) 豊田 巧 商品詳細を見る |
・甘城ブリリアントパークのアニメ化はうまくいくか?
今年の秋よりTBS、MBS深夜枠で放送が決定しているのが、当ブログでは毎回のように触れてきた「甘城ブリリアントパーク」のアニメ放送スタートです。
| 甘城ブリリアントパーク1 (富士見ファンタジア文庫) (2013/05/21) 賀東 招二 商品詳細を見る |
甘城ブリリアントパークは、廃れて廃園間近の遊園地を、高校生の主人公がその手腕を買われて指導者に抜擢、経営を立て直すという、痛快サクセスストーリーであります(ちょっと違う)
制作を担当する京都アニメーション、通称京アニは、涼宮ハルヒの憂鬱、けいおん!といった、社会現象まで巻き起こしたアニメを制作した、屈指のアニメーション制作会社であります。
京アニと甘ブリの作者である賀東招二は、賀東招二の代表作である「フルメタル・パニック」のテレビアニメ第二期、第三期の制作を請け負った時から親交が続いているようで、最近では「氷菓」のシリーズ構成を賀東招二が請け負ったという事は、知る人も多いのではないでしょうか。
さて、そんな甘ブリのアニメ化はうまくいくのか、という話なのですが、いったいどうなるのか、というのは割とよくわからん。
個人的には上手く行って欲しいのですが、さて。京アニという安心感は大きいのですが。
ちなみに夏クールの京アニは、FREE!の二期を放送。
・新興レーベルへの期待その2
ついこの前、大手出版社の筆頭、新潮社が「新潮文庫nex」の設立を発表しました。
このレーベルのターゲットは、はっきりと示されており、ライトノベルの次に手を出すような小説を生み出す、つまりは現行のメディアワークス文庫的な立ち位置のレーベルだと、今の時点では推測する事が可能です。
ここで注目したい点は、nex自体は書店において、新潮文庫と同じ棚で展開するという考えがあるという事です。
幾つかの書店を回ってみるとわかることですが、メディアワークス文庫の置き場というのは、書店によって割と違います。私のよく使う書店では、メディアワークス文庫はライトノベルと同じに展開をされていますが、最寄り駅の書店では、メディアワークス文庫はハヤカワやこのミス文庫などと同じ棚で展開されているなど、一貫性がありません。
そこを、新潮文庫という一般向けの小説の棚で全ての書店で展開することになれば、nexというブランドをいち早く認識することに多大な影響を及ぼすことになるのではないでしょうか。
創刊に立ち会う作家陣も、竹宮ゆゆこ、谷川流のような男性向けライトノベルでの人気作家から、「彩雲国物語」の雪乃紗衣のように女性向けライトノベルの人気作家や、小川一水のようなSF作家をはじめとした、幅の広い、そして人気作家が多く、新潮社という出版社の底力を感じざるをえません。
8月から刊行をスタートさせる新潮文庫nexがどのような影響をライトノベル界に与えるのか。とても楽しみなところです。
昨年スタートしたオーバーラップ文庫も気がつけば一周年を迎えました。ISに続くメディアミックスの知らせは未だ届きませんが、オーバーラップ文庫もネット小説に活路を見出している姿勢を伺うことができます。
今年に入り、オーバーラップ文庫は小説になろうで連載されていた三作を書籍化。「異世界魔法は遅れてる」は、現代世界の魔法を駆使して、過去世界でその強さとのギャップに苦悩するという作品。ストレイシープで有名。「フレイム王国興亡記」は、異世界に召喚された銀行マンが、その経済知識を生かして異世界の都市を活性化させるという作品。「大英雄が無職で何が悪い」は、同レーベルで展開する「灰色のグリムガル」と同世界において繰り広げられるハチャメチャ主人公がとにかくすべての小説。
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そして、オーバーラップは小説家になろうと連動したコンペを定期開催をして,なろうの利用者から人気を集めております。第1回大賞に輝いた「リーングラードの学び舎より」も、さきほど触れた教師キャラ作品で、やはり流行を感じる。
やはりまだこれらの試みも始まったばかりですので、その試みの結果がいかに実を結ぶのか?というのは今後も注視しないといけないでしょう。
ぽにきゃんBOOKSからは、「ランス・アンド・マスクス」のアニメ化が発表されました。
| Lance N' Masques (ランス・アンド・マスクス) (ぽにきゃんBOOKSライトノベルシリーズ) (2013/12/03) 子安 秀明 商品詳細を見る |
やはり、アニメ化との密接なつながりがあるということを証明した形のアニメ化ということになりました。
そのアニメ化の頻度がどのくらいになるのか……ということに関しては、いまだによくはわからない状況ですが、先例の京アニに学びますと、2クールに1本くらいなのか。しかし、私自身あまりぽにきゃんBOOKSの本を読んでいないこともあり、作品がアニメ化されるクオリティーのものなのか、は正直よくわからない。それはいいことなのか悪いことなのかは、人それぞれによって変わるのでしょう。
ぽにきゃんBOOKSの中で上半期で話題になったのは八田モンキーの「メイド喫茶ひろしま」か。ご当地ものの波をわずかに感じる。
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講談社ラノベ文庫では、春クールに「彼女がフラグを折られたら」をTVアニメ放送。
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「(「・ω・)「がをがを~」のキャッチコピー、そして顔文字が登場しましたが、いずれも這いよれ!ニャル子さんのように爆発的にはやることもなく、収束。とても残念。
内容的には結構好みのものに仕上がっていましたが、あまり流行りませんでしたね……。BookWorkerの上半期ランキングなどを見るととてもそう感じざるを得ません。
しかし、これがだめならばまだ次だと、いうように、「銃皇無尽のファフニール」のアニメ化が発表されました。
強力な能力を使用できる主人公ですが、強力な能力の代償は自身の記憶。甘くて切ないファンタジーです。
| 銃皇無尽のファフニール1 ドラゴンズ・エデン (講談社ラノベ文庫) (2013/07/02) ツカサ 商品詳細を見る |
新興レーベルの狙う路線は、それぞれですが、いずれも特色のある形で見ているととても面白いですね。
・今後の期待作
・Only Sense Online
| Only Sense Online―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫) (2014/04/19) アロハ 座長 商品詳細を見る |
まとめの中で何度も登場するということは、それだけ今の流行りを抑えているという作品です。
つまりこれを読んでおけば、今話題のライトノベルの話になった時において行かれることはないということです!
日陰職が好きで、日陰職が活躍するニッチな話が読みたいぜ!!という方は是非。
・青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
| 青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない (電撃文庫) (2014/04/10) 鴨志田 一 商品詳細を見る |
電撃文庫で今年に始まった社会問題をうまく取り入れた青春ストーリー。
社会問題という簡単にはクリアできない課題を、うまく青春症候群という特別な問題として取り上げながら、青春ものとして仕立てている腕は、前作「さくら荘のペットな彼女」とは違う面白さがあります。
ちなみに私はSFではないと思っている。
・冥玉のアルメイン
| 冥玉のアルメインI (ファミ通文庫) (2013/06/29) 築地俊彦 商品詳細を見る |
ファミ通の推すファンタジー路線の中で、私が推すとするならば、これという一作。
主人公のあたりで渦巻く陰鬱な陰謀、救いがないように見える未来が、とても恐ろしいようで怖いもの見たさで先が読みたくなる。
これは愛憎劇の始まりか!?という現状なので、続きがめっちゃ楽しみ。
・甘城ブリリアントパーク
……しつこいようですけれど、これは秋からのアニメがどう反映すされるのか‼? という意味での今後の期待作です。
いやー、ほんと楽しみなんです。
前回の総括記事で触れたライトノベルの実写化や、世代交代をすることができたのか? などの点に関しては、また12月にでもまとめられたらいいなぁ、と思っています。
7月からは、ファンタジア大賞、GA大賞、スニーカー大賞、ガガガ大賞の作品などが継続的に発売されます。いったいどんな作品が人気を集めたのか、またその傾向は、みたいなことも楽しみながら残りの6か月読書を続けていけたらいいですね。
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