2014-07-05

生きるための武器文化資本か、よく生きるための知恵か

たぶん教養を、分野を問わない知識の定量的集積に「すぎない」と考えてる人はあんまりいないよね。

本1冊にしたって、カント浅田彰稲盛和夫マンガケータイ小説では人それぞれ重み付けが違うだろうし、逆に「そんなものを読んでいるなんて教養がない」と言う人だっているわけだし。

やっぱり、なんらかの方向付けや傾向があって、それによって何らかの能力権力が生まれるような、組織的な知識や見識の編成…って感じがするね。

はいえ、増田のいうマウンティングみたいな形で、誰か他人との上下関係を競うゲームに直接使える、高級な知識資源のことだけを「教養」というには、あまりに貧しい気もする。


さて(今よみなおしたら元エントリの冒頭で元増田も言及していたけど)フランス社会学で有名なブルデューという人は、70年代フランスでのいろいろな職業と、文化的選好を下のような図にしてマッピングしてる。ここで彼は「教養というのは、単なるお金経済資本)とは違う種類の資本文化的資本だ」というようなことをいってるのね。

http://www.ofda.jp/sakaushi/text/2004a/_img/fig03.jpg

この図では、聞く音楽、乗ってる車、好きな番組、休暇の過ごし方…なんかがさまざまな職業クラスタとむすびつけられているね。そして、図の左にいくほど「文化資本+/経済資本−」、右にいくほど「文化資本−/経済資本+」となっている。つまり金持ちじゃなくても教養があるのが右側、金持ってるけど教養には欠けるのが左側、というわけ。

経済学でいう「資本」には「蓄積保存でき、何かに投資でき、自己増殖できるもの」という含みがあるけど、ブルデューさんは「教養というのは、実はそういう点でお金に似てるんだよ、でも、それは必ずしもお金持ちという意味での裕福とは結びついていないけど、やっぱりそれ固有のパワーを持ってるんだよ」ということを実証的に明らかにした。日本的な言い回しなら「名家成金の違い」といえば体感できるよね。

教養文化的資本には階級の表示機能があるし、だから階級再生産することもできる。やっぱり趣味が近い人間はそういう人間同士でつるむものから、そのクラスタの中での「当たり前」な知識や所作価値観をお互いに共有・強化しつづけることになるし、そういうクラスタに属する家族では、子ども自然に同じような教養のセットを身に付けるよね(文化資本継承相続)。婚姻選択のときにも「いくらお金持ちでも一代限りの成金の家にはウチの娘(息子)はやれませんな」みたいなのがあるし。

つづくかも。

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    教養って何なんだろう。貧乏人の家に生まれたおかげで大した文化資本がないせいか、この「教養」という胡散臭い言葉の指すものが分からない。俺の方が知ってるぜ私の方が詳しいも...

    • 生きるための武器=文化資本か、よく生きるための知恵か

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      一人で暇を潰せる技術

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      それ単体では特に役に立たないけど、何かの情報に接した際にそこからより多くの事を読みとれるような、バックグラウンド的知識体系かなー。 例えば、私は歴史の教養がカラッキシな...

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      教養と言うのは無駄なもんであるし、無駄なもんを時間かけてやる余裕がある環境に育ったという事実が本質的に重要。 無駄な苦労はせず世の中は基本的に自分に都合よくできてるとい...

      • http://anond.hatelabo.jp/20140704211317

        無駄な苦労はせず世の中は基本的に自分に都合よくできてるという実感があると、人の使い方とか仕事への取り組み方とかが違うんだよな。 これは、確かに違いは生まれるだろうが...

        • http://anond.hatelabo.jp/20140704211943

          それは分かってないな。 全然自己中じゃないんだよ。だって自己中になる必要がないんだからな。 ぶっちゃけ仕事なんてしなくても暮らしていけるって奴のが多いわけだし。 庶民の方...

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      「教養とは、すべてを忘れてもなお残るもののことである」という言葉がある。

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      教養ってのは権力ですよ、仲間はずれにするための。 人間関係は「仲間はずれ」が第一に来ると考えると色々見えてくる。

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      最初と最後以外、ただ単に読書を語っているようにしか見えないのは・・・まあいいか。 教養は何かを学ぶための基礎力。専門家が専門知識を身に付けるのはある意味で対極にあると言...

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      「常識」「当たり前」という名の欺瞞による抑圧を、教養という名の釘バットでぶん殴るんだよ。嘘っぱちな常識に唾を吐きかけて、自分にとって真に合理的な選択をするために必要な...

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      月に30冊とか、年間1,000冊とか、正直どうでもいい。そういうのは、自分の考える「教養」の指標にはならない。 だが、もし「私は1年かけてこの1冊の本を読んでいるがまだ...

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      教養より、リベラルアーツ。人を自由にする学問って言い方のが好き 型破りと型無しの話みたいに、自由であるために学ぶべき型がリベラルアーツ 人文、自然、社会科学と列挙して概要...

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      いろんなものの元ネタがわかるかどうか

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      教と養の字の組み合わせでその様子を意味したものでしょ。 教え、伝え聞いたり伝え語ったりして情報のことと、養うはそれを維持すること、組み合わせの時点で教えることは教育な...

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      聖書を知らないと無教養っていうのがどういうことかというと、 「ファミコン」知らないのに日本のゲーム語っちゃうの?とか「手塚治虫」読んだことないのに日本の漫画語っちゃうの...

      • http://anond.hatelabo.jp/20140705011314

        ヨーロッパで暮らすなら、聖書は教養かもしれんが、日本じゃそこまででも無いだろ。 俺んち、代々キリスト教徒で、聖書はほぼ暗記してるけど、聖書の知識が役立ったことなんて記憶...

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      例えば、 ヒューム知らない、 ソシュール知らない、 ブルデュー知らない、 こういう教養はないが、 学力だけは高い人間が会社に集まってしまうと、 データに対する盲信と、 局所最適...

      • http://anond.hatelabo.jp/20140705041311

        俺理系で大学院もでてるんだけど、他の増田もちょっと書いてたけど、工学系の専門知識なんかは多分教養とは言わんよな。 小説(太宰とか)を読む、クラシックを聴く、ようなのが教...

      • http://anond.hatelabo.jp/20140705041311

        その例えを見て池田信夫を思い出したw 説得力ゼロww

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      教養は暇をつぶす技術。 小人閑居して不善をなす。 ここで、閑居≒暇であることから、 教養とは、つまらない人間が不善を成さないために生きていくための技術であることが導かれる...

    • http://anond.hatelabo.jp/20140704205502

      そういう疑問を抱けるならいいんじゃないの