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<集団的自衛権の行使容認は利益か損失か>【基礎知識】集団的自衛権をめぐる憲法解釈はどう変遷してきたか?

日本の論点 3月17日(月)19時33分配信

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<集団的自衛権の行使容認は利益か損失か>【基礎知識】集団的自衛権をめぐる憲法解釈はどう変遷してきたか?

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<集団的自衛権の行使容認は利益か損失か>【基礎知識】集団的自衛権をめぐる憲法解釈はどう変遷してきたか?
1950年、自衛隊の前身、警察予備隊発足。整列する隊員(毎日新聞社)

 ◇前のめりの首相に党内の空気は

【対論】集団的自衛権の行使は、自衛隊を米軍の“傭兵”にするだけで、東アジアの安定にはまったく寄与しない

 2月12日、安倍晋三首相は衆院予算委員会で、「権利を有してはしているが、行使はできない」という現行の集団的自衛権の憲法解釈を変更する考えを重ねて強調した。そのうえで「最高責任者は私だ。政府の答弁は私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と述べた。

 この発言は、長年にわたって積み重ねられてきた憲法解釈であっても、政権の判断によって変えることは可能と公言したに等しいことから、野党のみならず自民党内からも、「あれが許されれば、選挙で勝った政権が、そのつど、憲法を好きなように拡大解釈できる」(村上誠一郎・元行革担当相)、「解釈変更と憲法改正は表裏一体。解釈変更でどこまでできるのか、整理が必要だ」(船田元・党憲法改正推進本部長)など異論があいついだ。

 しかし安倍首相の勢いは止まらなかった。2月20日の衆院予算委員会でも、「集団的自衛権は持っているが行使できないことで、さまざまな事象に対応できない。はたしてどうか」「安全保障環境が大きく変わった。国民の生命・財産を守るために他国の協力が必要だ。今のままの解釈でいいのか」と、集団的自衛権の行使を容認すべき必要性を説いた。

 ◇半世紀にわたり堅持された憲法解釈

「集団的自衛権」とは、自国と緊密な関係にある同盟国が武力攻撃を受けた場合、自国が直接攻撃されていなくとも、参戦する権利を有していることをいう。国連憲章第51条は、すべての加盟国に対し、「個別的自衛権」(=自国への攻撃に反撃する権利)とともに、集団的自衛権を認めている。

 さらに、現行の日米安全保障条約は、前文で「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し」たうえで、第5条において「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動する」と定めている。ではなぜ、集団的自衛権は行使できないという政府解釈が生まれたのか。

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最終更新:4月1日(火)14時31分

日本の論点

 

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