2014-07-05
梅雨明けの前に、「春一番」が逝く。芸も、吹き抜けていく。
猪木のものまね芸人・春一番が肝硬変のため死去 | 東スポWeb – 東京スポーツ新聞社 http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/285776/
反響が、ほとんど1プロレスラーのものまねに特化した芸人さんのものにしては大きなものだったように思うけれども、それは自分の見てる範囲がそういうところであるゆえか(笑)。
元気があれば何でもできる - 男の魂に火をつけろ! http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20140704
「…近年のアントニオ猪木は、いつでもどこでも(国会ですら)開口一番「元気ですかー!」と叫んでいますが、このセリフが定番になったのも、春一番からの逆影響が少なくなかったんじゃないかと、割と本気で思います。」
自分は「すこし前(2005年だった)に生死の境をさまよった」(今回、「猪木のお見舞いで蘇生」として再度エピソードが紹介された)「酒好き、というより依存症状態で、なかなかやめられない」という話は聞いていたので、一報を聞いたときには「えっ?」ではなく「ああ、やっぱり…」だった。
やはり何とも、酒というものは恐ろしさを含んだものであるのだ。くれぐれも気をつけなければいけない。
彼のおもしろさについては…この前彼女のことを書いたばかりだが、仕事の分量としては少ないながらそのキレは伝説的であったナンシー関のプロレスに関する文章でその芸の価値が語られている。
杉江松恋氏の春一番本書評に、それが引用されているので孫引きしよう。
- 作者: 春一番
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
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- 作者: ナンシー関
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/04
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――関根は極力「ぽぅ(注:あ、ぽぉとも表記された馬場特有のリアクション。新日本プロレス出身の橋本真也は、全日本の至宝である三冠ベルトを奪取した際、額からダラダラ流血したままこのものまねをやり、記者たちを大爆笑させた)」を使わず、顔や体の表情や、例の額に手をやる以外の仕草でまねる。春一番は、「えー、皆さん――」から始まる猪木の素の喋りを最も得意とする。両者ともリング以外の馬場・猪木(たとえばクイズの回答者席での馬場とか、国会で代表質問に立つ猪木とか)をまねることができる。それもきわめてリアルなアプローチによってという点はすごいと思う。
「関根は馬場以外にも青木功や輪島功一、曙といった一貫したポリシーに基づくものまね芸があるが、春一番は猪木以外のネタを見たことがない。いや、猪木じゃない時の春一番さえ見た覚えがない。春一番、何だろうこいつは」(『何をいまさら』角川文庫)。
人間は、言葉で世界を作る。引用した杉江氏も
「春さん、すごい。それに気づいたナンシーさんもすごい」と舌を巻いている。
お笑いを系譜的に位置付けると、彼のこの芸が「細かすぎて伝わらないモノマネ」の源流となったのだという指摘を読んだ。自分はその「細かすぎて」のほうを知らないのだけども、さもありなん。もしそうなら、春さんの芸から、「ほかにも応用できる普遍的な笑いの核」を見つけたその企画者にも脱帽する。
春一番の芸を、実にド派手な舞台で世間に問うたのがビートたけしの「お笑いウルトラクイズ」だった。たけしのようにマルチな芸人が、本当に「一芸」の春一番を愛し、大きなチャンスを与えてくれたし、それに見事に彼はこたえた。ウイリー・ウイリアムスや佐竹雅昭、角田信朗に「イノキ流」で対峙し、顔や声やしぐさはそっくりなのに体が異様にガリガリなところまで含めて芸だった。
微妙に井手らっきょまで猪木のマネをやってかぶったけど、相乗効果が出てたりした(笑)。それが「モノマネ芸人+本人四大共演」に続く。
モノマネ芸というのは、映画「七人の侍」の幻のセリフ(脚本には残っているが、実際には使われなかった)、あるいは手塚治虫ですら自分の漫画についてそう語ったように「風のようなもの」なところがある。
時代と共に
風のように 吹き過ぎていくんです
それでいいんです (手塚治虫)
手塚の漫画はその自己認識に反して残ったが、春一番の芸はやはり時代と共にあるものだ。だがしかし、猪木がお騒がせを続ける間は思い起こすことも多いだろう(また、けっこうその期間が長そうだ(笑))。また、これもナンシー関が鋭く指摘したように「モノマネの大半は、誰かのモノマネをモノマネしたものだ」というところがあるので、「猪木のモノマネは、春一番の猪木モノマネのマネ」という構造はずっと続いていくはずだ。
春一番という芸名は猪木のモノマネ芸をする前の命名だったそうだが、実にぴったりのものであった。そういえば、春一番が吹き抜けた後に、暖かく希望に満ちた本物の春が来るのだっけ…
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氏の功績をも振り返りながら、悼みたいところ。