公民館月報:「九条守れ」俳句、誤解招く恐れと掲載拒否

毎日新聞 2014年07月04日 12時15分(最終更新 07月04日 15時27分)

 ◇さいたま市大宮区の三橋公民館「広告掲載基準に沿って判断」

 さいたま市大宮区の三橋(みはし)公民館が、館内で活動する俳句サークル会員が詠んだ俳句を巡り、集団的自衛権の行使容認に反対するデモを詠んだとみられる内容について、「公民館の考えだと誤解を招く恐れがある」などとして、同館発行の月報への掲載を拒否していたことが分かった。同館などは「世論が分かれている内容の広告は掲載しないと定めた市広告掲載基準に沿って判断した」と説明している。

 掲載を拒否されたのは、俳句サークルの会員で、同市大宮区に住む70代の女性が詠んだ「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句。同館は、俳句サークルが会員の句から毎月選んだ1句を、公民館の活動を紹介する月報に掲載。女性の句は1日発行の7月号に掲載される予定だった。

 しかし、同館や市内の公民館を所管する同市生涯学習総合センターは6月末から7月1日にかけ、女性や俳句サークル代表に「掲載できない」と回答、7月号では俳句コーナー自体を削除した。

 2006年7月策定の市広告掲載基準によれば、国内世論が大きく分かれている内容の広告掲載を禁止している。同館などは「基準を準用して掲載を見送ったのは妥当」と説明するが、基準を所管する同市行財政改革推進部は「広告とは企業や商品の宣伝のことであり、公民館活動での市民の俳句は広告とは言えない」と指摘し、矛盾が生じている。【夫彰子】

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