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 奈良県明日香村の特別史跡、高松塚古墳(7世紀末~8世紀初め)の極彩色壁画(国宝)のひとつ「飛鳥美人」(西壁女子群像)に、「臙脂(えんじ)」とみられる濃い赤色の染料が使われた可能性のあることがわかった。奈良文化財研究所などが「奈文研紀要2014」で報告した。臙脂は東南アジアなど原産の昆虫ラックカイガラムシの分泌物が材料とされ、当時の国際交流を物語る研究として注目される。

 壁画の修復を進める奈文研と東京文化財研究所、文化庁が、「飛鳥美人」の赤色の着衣の女性がはくスカート(裳(も))の彩色について、可視分光分析と呼ばれる手法で解析。スカートのひだが、青色と、赤みを帯びて紫がかった色のしま模様であると判明。青色は銅が強く検出されたため鉱物の顔料とみられる一方、赤みを帯びた色は臙脂の可能性が浮上した。

 百橋(どのはし)明穂・神戸大名誉教授(美術史)によると、臙脂は唐代の壁画に使われたほか、日本には綿などに染みこませて輸入されたとされ、正倉院にも伝わる。「南方産の虫から作られた臙脂が唐を経由して輸入されたのだろう。高松塚壁画を鮮やかに彩った絵の具からも、広い国際交流を知ることができる」と話す。

 研究成果は、6日に奈良市の奈良教育大である日本文化財科学会で報告される。(塚本和人)