理研:危機対応「遅い」…iPS臨床・高橋リーダー
毎日新聞 2014年07月03日 21時59分(最終更新 07月03日 22時35分)
STAP細胞の論文不正問題を巡り、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の臨床研究を進める理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の高橋政代プロジェクトリーダーが3日、毎日新聞の取材に応じ、「臨床研究を落ち着いてできる環境ではない。静かな海をもう1回返してほしい」と、理研に早期の問題収束を求めた。
高橋氏はCDBなどが進める臨床研究の責任者を務める眼科医。一連の騒動に対する理研の対応を、「病院の危機管理に慣れている者としては、今回の理研の危機管理は違う、遅いと感じる」と指摘。今夏にも予定する1例目の移植に変更はないとしたが、「何かが起きたときの対応が、今の(理研の)状況では無理だと思う」と批判した。
臨床研究の進捗(しんちょく)については「科学的、医学的には順調。患者さんとの信頼関係も崩れていない」と強調。一方、「何年もかかって波風立たないように神経を使ってきたが、横から来た荒波にさらされている」と訴えた。
高橋氏は2日、「まだ始まっていない患者さんの治療については中止も含めて検討する」とツイッターに投稿したが、その経緯について「このまま臨床研究に突入することは危ないと思った」と説明した。また「(STAP細胞の)検証実験も何のためにやるのかよく分からない。説明が足りない」と疑問を呈した。【八田浩輔、須田桃子】