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 日本赤十字社と朝鮮赤十字会の実務者会談が19日、中国・瀋陽市のホテルで開かれた。日朝の外務省担当課長による非公式協議も行われたが、内容は明らかになっていない。北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの娘と両親が再会して間もない日朝間の接触で、会談は20日まで。政府協議で2012年11月以降途絶えている局長級協議の再開に合意するかが焦点だ。

 日朝赤十字会談では3日の前回会談と同様、日本外務省の小野啓一・北東アジア課長と北朝鮮外務省の劉成日(リュソンイル)課長(日本担当)も同席した。非公式協議では、前回日本側が提案した局長級協議の再開について北朝鮮側が何らかの返答をしたとみられる。北朝鮮側が局長級協議に応じれば、日本側は拉致被害者の再調査を局長級協議の議題に求める方針だ。

 赤十字会談は、第2次世界大戦末期や終戦後に現在の北朝鮮で死亡した日本人の遺骨返還や墓参がテーマ。日赤の田坂治・国際部長と朝鮮赤十字会の李虎林(リホリム)・事務総長らが出席した。冒頭、田坂氏は「遺骨問題についての会談が短い間に再びできてうれしい。政府も交え、専門的にもっと深く誠実に話し合いたい」と述べ、李氏は「問題を解決するためにお互いに努力し、成果を上げるために私たちも全力を尽くすつもりだ」と応じた。厚生労働省の担当者も入り、北朝鮮内の土地開発予定地で見つかった遺骨の取り扱いについて話し合った。

 安倍晋三首相は19日の参院予算委員会で、横田さんの娘と両親の第三国のモンゴルでの面会に応じた北朝鮮の対応について「こうした変化をしっかりとらえながら、拉致問題の解決に向けた糸口としていきたい」と語った。(瀋陽=鈴木拓也)