NHKのインターネット業務拡大や民放経営の規制緩和を柱とする改正放送法が6月20日の参院本会議で可決、成立した。NHKの放送と通信(ネット)の融合や、地域経済の低迷で経営に苦しむ地方局を支援することが主な狙いで、来年4月に施行される見通し。法改正のポイントを整理する。(三品貴志)
NHKをめぐる法改正の最大の特徴は、ネットに配信できる番組の範囲が現行法の「放送した」から「放送する」番組へと広がった点にある。「テレビの全ての番組の同時提供」を除くという条件は付いたものの、法令上は、これまで明確な記載がなかった放送と同時のネット配信が“解禁”されることになった。
平成23年3月の東日本大震災では、震災直後のニュース映像を広島市の中学生が「被災者の役に立てば」とネットで無断中継し、NHKは緊急措置としてそれを追認。その後、NHK自身もテレビ放送の「付帯業務」という解釈でニュース番組のネット同時配信を実施した経緯がある。
「再び大災害が起きたらどうするのか」と同時配信のルール整備を求める声も上がっていたが、今回の法改正で、大規模災害時の同時配信に大義名分が立つ見通しとなった。
法改正で、ラジオ番組をネットで同時配信する「らじる★らじる」や、ネット経由の情報をテレビやタブレット端末などに表示する「ハイブリッドキャスト」などのサービスもNHKの恒常的業務になる。従来は総務相から個別の認可が必要だったが、今後はより柔軟な運用が可能になる。
copyright (c) 2014 Sankei Digital All rights reserved.