福井鉄道が4月に福武線に導入した1965年製のドイツ製車両で不具合が見つかり、6月15日を最後に運休、福井県越前市の車両基地に“緊急入院”している。冷房設備がないために導入時から運休する予定だった7、8月中に修理し、9月の運転再開を目指している。
車両はドイツのシュツットガルトを走行していた2両1編成。90年から高知県の土佐電鉄で約10年間運行し“休眠”していたところを、同社が県の全額補助を受けて7700万円で購入した。
必要な補修を終えた車両は今年4月12日に「レトラム」の愛称で運行開始。土日祝日限定で福井駅前―田原町を1日6往復し、丸みを帯びたレトロなデザインで観光客や家族連れの人気を集めていた。
同社によると、15日にドアの開閉やブレーキを作動させる空気弁に不具合が見つかって運行を中断。運行実績16日目にして、車両基地へ無念の入院となった。
製造から50年近く経過した古い車両のため、修理は難航。劣化していた空気弁約50個はすべて交換したが「部品の劣化があちこちに見つかり、試運転のたびに不具合が見つかる。暗中模索の状態で原因を調べている状態」(梅澤順一常務)という。
同社では土佐電鉄のベテラン整備士を招き、助言を受けながら修理、点検している。同社は「安全に心配のある車両を動かすわけにはいかず、9月の運転再開を目指して完ぺきに修理する」としている。