三河地方の公立小学校三年生の教室で、いじめられている同級生をかばおうとした女子児童が、別の同級生三人から集団暴行を受けた問題で、小学校を管轄する教育委員会は一日、役所内で会見し、事実関係や再発防止策などを説明した。
本紙報道を受け教育長らが急きょ会見。担任は、今春に大学を卒業したばかりの男性教諭(23)だったとし、教育長は「背景には、学級の風土や、担任の学級経営の問題が大きく影響している」と述べた。
さらに、本紙が報道するまで問題を公表しなかったことには「小学校三年生の間で起きたことであり、双方和解し、適切に対応してきた。保護者の要望もあった」と説明した。
教育委員会は一日、臨時の小中学校校長会を開き、いじめへのきめ細かい対応のほか、「経験の浅い」教諭への指導強化を求めた。
◆担任の意識低かった
会見での教育長や担当課長との主な一問一答は次の通り。
前日二日の下校後の児童クラブで、女子児童がいじめを受けていた同級生をかばい、「いじめるなら私を代わりにいじめて」と発言した。その場にいた三人のうちの一人が、翌日の教室で「いじめてもいいんだって」とはやしたてた。
二、三分間、背中に跳び蹴りしたり、強くたたいたり。児童が二人で体を押さえつけた場面もあった。けがは頭のこぶや首、腰の擦り傷など。
教室に来たら暴行が行われていたため、注意してやめさせ、事情を聴いた。目に見えるけががなかったため、病院に連れて行くことはなかった。
授業にならないほどではないが、落ち着きがなく、担任の指示が通らないことはほかの教諭も認識していた。
四月から悪口や砂をかけられるなどの嫌がらせがあった。学校は毎月いじめアンケートをしていたが、認識していなかった。ただ担任は目にしていたと思う。
からかいや遊びと思っており、アンケートでも本人から上がってこなかった。担任の経験が浅く、意識が低かった。フォローする学校体制も不十分だった。
いじめは大人の目に触れない水面下で起きている。本人が言わないから「ない」と形式的にしないよう、さまざまな情報が収集できる校内体制、教職員の意識づくりをしたい。
<いじめをかばった女児への暴行問題> 6月3日午後、いじめをかばおうとした小学3年生の女子児童が教室内で、同級生の女児1人、男児2人の計3人に暴行された。授業のため、教室に来た担任教諭は暴行を直ちに制止できず、すぐに保護者にも知らせなかった。その後、3人と保護者が女子児童側に謝罪。女子児童は6月30日から通常通り登校している。
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