集団自衛権の容認をニューヨーク・タイムズはどう報じたのでしょうか?

これに関する記事は7月2日の同紙の一面トップ左端に掲げられています。つまりこの日の最重要記事だということです。同記事はページジャンプを挟んで第三面(A3)に飛んでおり、長尺です。

事実の記述の部分はこのニュースをNYタイムズがどう受け止めたかが表れにくいので、それを窺わせる、意見や引用の部分を中心に抄訳すれば:

安倍総理大臣のタカ派的対応は、第二次大戦中日本による残忍な占領を受けたことを決して許していない中国を怒らせるに違いない。それはアジアの二つの最強国をピリピリした状態に置くことになるだろう。

(中略)

折から中国のリーダーは韓国を訪問している。この訪問は韓国をこれまでの親米から、より親中へと寝返らせる狙いがあると理解されている。

集団自衛権の容認は日本が四半世紀に渡って討論してきた問題がひとつの到達点に達したことを意味する。

(中略)

これまでのところ、集団自衛権容認に対する国内の反発は小さい。これは近年、中国の船舶や航空機が日本の領海を侵犯しているというニュースが相次いだことも影響していると思われる。

(中略)

オバマ政権は火曜日、集団自衛権容認を歓迎すると発表した。それに加えて、現在の同盟の枠組みの中で自衛隊がより多くの任務をすることを支援する用意があることを表明した。

(中略)

中国が経済的に台頭してきたことだけが変化の原因ではなく、日本が経済大国の地位から滑り落ちたこと、アメリカの支配力が大きく後退したことなどもアジアにおける国々が自力で国防力をUPする必要性を感じさせる原因となっている。

(中略)

これらの国々の間では、アメリカの軍事力は、そのイメージほど強くなく、アメリカには居て欲しいけれど、その一方でアジアの国同士で新しい連携の仕方を模索する必要があるという考えが出ている。

(中略)

メリーランド州チェスタータウンにあるワシントン・カレッジ国際研究所のアンドリュー・オロス氏は「日本は安全保障上のルネッサンスを今、経験している。日本が集団安全保障を容認したことが驚きなのではなく、このような大変化が、ファンファーレを伴わず、静かに導入された点こそが凄いことだ」