「問題を抱え込まず、まず連絡を」と呼びかける「はじめのいっぽ」代表の岩井さん=春日部市で
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心の不調を感じているが、いきなり精神科で受診することには抵抗がある。そんな人の「最初の相談窓口」としての役割を担う市民団体「はじめのいっぽ」が、春日部市を拠点に設立された。代表を務めるのは自らも統合失調症と闘ってきた岩井聡輝(としき)さん(31)。相談者と目線を共有できる岩井さんは「一人で抱え込まないで。まず相談を」と呼び掛ける。 (竹内章)
「はじめのいっぽ」はメンタルヘルス活動を主な目的に、今年四月に設立された。メンバーは、岩井さんをはじめ、精神科医や精神保健福祉士などの専門家を含む八人。電話やメールで精神疾患に関する幅広い疑問や相談に応じるほか、可能な範囲で医療機関も紹介する。相談は原則無料。「保健所などの行政機関に比べ敷居が低く、手軽で相談しやすいのがメリット」という。
岩井さんが「はじめのいっぽ」を立ち上げた背景には、自身の経験がある。高校を卒業後、派遣社員として働いていた二十二歳の時「うつ状態」に。いったん症状が回復し大学に進学したが、四年生の冬に統合失調症と診断された。現在、症状は完全になくなってはいないものの、良好な状態を維持している。
病が発症した時、精神科に偏見を持っていたため、なかなか受診に踏み切れなかったという岩井さん。何か社会に貢献できることに取り組みたいと考えた時「診断を受ければ、自分が抱える問題を整理・解決できることが多い。過去の自分のように、戸惑っている人の手助けをしたい」と思い立ち、今回、「はじめのいっぽ」設立を決断した。
自らの病も包み隠さず公表している岩井さんは「病気を知られたくないと思う自分の中の偏見こそが敵だと思っている。メンタルヘルスを取り巻く偏見をなくすことにも力を入れていきたい」と力を込めている。
相談は、「はじめのいっぽ」=電080(8080)6679(受付時間・午後五〜八時)か、メールhajimenoippo.kasukabe@gmail.com=へ。
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