イスラム国:「民主主義打ち砕く」…指導者が声明
毎日新聞 2014年07月02日 22時44分(最終更新 07月02日 23時23分)
【カイロ秋山信一】イラクとシリアで勢力を拡大するイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」を率いるアブバクル・バグダディ容疑者(米国がテロリスト指定)は1日、「国家主義や民主主義といった幻想を打ち砕く」との声明を発表し、既存の国家に敵対する姿勢を強調した。ロイター通信が報じた。
先月29日に「イスラム国」の建国を一方的に宣言してから、指導者の声明が公表されるのは初めて。イスラム国は実効支配するシリア北部ラッカで大規模な軍事パレードを行うなど示威行動を強めている。
声明は「新しい時代が始まった。全イスラム教徒には結集する義務がある」と続き、支配地域への移住を呼びかけた。また「ラマダン(断食月)になすべき善行は圧制者に対するジハード(聖戦)だ」と指示。「中央アフリカからミャンマーまでイスラム教徒に対する過ちには報復する」とも述べ、活動範囲を拡大する姿勢も示した。
バグダディ容疑者は、スンニ派の歴史的指導者の称号である「カリフ」を自称している。カリフ制は第一次世界大戦後に廃止されたが、イスラム過激派の多くがカリフ制復活の理想を持っており、こうした勢力を取り込む狙いがあるとみられる。